Environment

環境(E)

TCFD提言を踏まえた情報開示

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示

ミライト・ワン グループは、 2021年10月、気候関連のリスクと機会が財務におよぼす影響を積極的に開示することを目的としたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース※1)提言に賛同し、TCFDコンソーシアム※2に加盟しました。2022年5月には同提言を踏まえた情報開示を実施し、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略(シナリオ)」「目標」「実績」について以下のように開示しました。今後は、「特定したリスク」と「機会の考察」について気候変動に伴う外部および内部環境の変化をモニタリングし、リスク管理体制の整備や、シナリオ分析等に基づくリスクと機会の継続的見直しのほか、温室効果ガス排出量の削減目標の達成に向けた進捗状況について、さらなる開示の拡充に努めていきます。

  • image ※1 多くの情報に基づいた投資、信用、保険の引受決定を促進し、利害関係者が金融における炭素関連資産の集中をよりよく理解できるようにすること。また、より効果的な気候関連の開示に関する勧告を作成することを目的に金融安定理事会が設立
  • image ※2 TCFDに賛同する企業や金融機関等が一体となり、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげるための取り組みを議論する場として設立された組織

ガバナンス

ESG経営推進委員会(ESG経営推進体制参照)を9月に設置後、マテリアリティ「環境にやさしい社会をつくる、まもる」を経営会議と取締役会の審議を経て決議したほか、脱炭素社会の実現への貢献を本格化するべく、中期経営計画KPIのひとつである「温室効果ガス排出量削減目標(2030年度)」を設定し、進捗をモニタリングする体制を整備しました。

2030年温室効果ガス排出量削減目標については、SBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づく目標※1)として2023年2月に認定されました。

2023年度は、同委員会を計4回開催し、グループ全体の具体的なGHG排出量の削減状況と削減施策を議論、各種ESG格付機関からの評価対応と結果の分析を行い戦略の策定、各種施策推進を実施しております。

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※1 パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標。(環境省・経済産業省 グリーン・バリューチェーンプラットフォームより)

また、経営陣のESGへの取り組み意識の向上を目的に役員報酬制度を改定し、従来からの業績連動報酬の指標である「連結営業利益」「連結ROE」に加え、非財務目標の「温室効果ガス排出量」を2022年度より新たな指標として導入しました。

リスク管理

企業集団としてのリスク管理の基本方針と推進体制を「リスク管理規程」により定めるとともに、リスク管理計画に基づき、様々なリスクに対し的確に対応しています。

2023年度はリスク管理委員会を2回開催し、企業集団各社におけるヘルプラインの利用状況、訴訟案件等の重大なリスクの管理状況を審議・対処したほか、全従業員・役員を対象に実施した「コンプライアンス・リスク管理等に関するアンケート」の分析結果に基づいて、担当部門毎に対策を明確化したほか、啓蒙活動を実施しました。  (関連情報記載箇所:リスクマネジメントの徹底

気候変動関連のリスクと機会についても、ESG経営推進委員会が主管となり、気候変動に伴う外部・内部環境の変化をモニタリングし、事業に影響を与える気候変動のリスクと機会を洗い出しています。洗い出されたリスクと機会については当社グループへの影響度等も評価・分析し、影響度の高いリスクと機会を特定しています。その後、取締役会および経営会議にて審議した上で全社のリスクと機会として組み込んでいます。

戦略

当社グループは、リスクと機会の管理プロセスのもと、2℃未満(1.5℃等)と4℃シナリオを参照し※1、将来的に発生しうる気候変動関連のリスクと機会を分析しました。その結果、脱炭素社会への移行(政策・法規制/市場・評判)により、今後想定される事象による影響および気候変動による物理的(急性/慢性)影響が顕在化すると評価しました。

これらのリスクに対して中期経営戦略を見直し、「事業を通した脱炭素社会の実現」が重要課題であることを再認識しました。また、当社事業の関わりとして、スマートインフラ/エネルギーソリューションの需要拡大を今後見込まれる機会として特定しました。

※1 各シナリオは以下を参照しています。
急速に脱炭素社会が実現するシナリオ:
− International Energy Agency (IEA) World Energy Outlook 2018 Sustainable Development Scenario (SDS)
− IEA Energy Technology Perspectives 2017 Beyond 2℃ Scenario (B2DS)
理的影響が顕在化するシナリオ:
− Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) 第5次評価報告書
− IPCC1.5℃特別報告書

2℃未満の目標(1.5℃等)が達成される未来:急速に脱炭素社会が実現するシナリオ

想定シナリオ 炭素排出規制の強化 脱炭素化に向けた意識の高まり
特定したリスク
リスク発生までの期間 中長期 短中長期 短期
種別 政策·法規制 政策·法規制 市場·評判
内容 ・炭素課税による資材・燃料調達コストの増加
・カーボンプライシングの導入などの規制未対応による事業負担増
・削減未達となった場合の排出量に対するクレジット買取によるコスト増加リスク
・再生可能エネルギー由来電力への転換による電力コスト増 ・環境への取り組みが不十分となった場合
‐新規建設工事の受注減少
‐既存保守契約の解除
‐レピテーションリスク増加による顧客離れ
機会の考察
リスク発生までの期間 中長期 短中長期 短期
種別 製品·サービス/エネルギー 製品·サービス/エネルギー 市場
内容 ・再エネ・省エネ事業(太陽光発電、EV充電、LED照明等)の需要拡大 ・省エネ設備への転換ニーズ増加
・IoT活用による電力使用の効率化推進
・リニューアル工事需要の増加
・ZEB、スマートシティ関連の需要の増加
取り組み
内容 ・DX、働き方改革による節電の推進
・車両の燃料添加剤の利用等による燃費向上、EV化促進
・購買電力のRE化
・低炭素製品の特定と調達推進
・ステークホルダーへの適切な情報開示

平均気温4℃上昇する未来:物理的影響が顕在化するシナリオ

想定シナリオ 自然災害の頻発・激甚化 平均気温上昇
特定したリスク
リスク発生までの期間 短中長期 短中長期 長期 中長期
種別 急性 急性 慢性 慢性
内容 ・豪雨や台風等による通信設備・基地局の損傷と復旧コストの増加
・被災による労働力の低下
・バリューチェーン寸断による製品・サービスの中止 ・データセンタなどの空調コストの増加 ・屋外労働環境の悪化による労働生産性の低下、熱中症等の健康被害増加
機会の考察
リスク発生までの期間 短中長期 中長期 長期 中長期
種別 市場/レジリエンス 市場 市場 レジリエンス
内容 ・異常気象により無電柱化ニーズの増加 ・自然災害の頻発・激甚化による通信設備・基地局の防災・減災工事の需要増加 ・空調設備の高効率機器への更改
・空調装置の運用改善
・DX推進、リモート型働き方の一層の推進
取り組み
内容 ・蓄電池設備や非常用電源確保などの設備強化需要増加
・マルチスキル人材の育成
・ミライト・ワンパートナー会※1の連携強化
・水道ソリューション ・空調事業の強化 ・DXによる施工省力化、作業者の健康管理強化

※1 パートナー企業との共創がESG経営基盤の中核的テーマであり、ミライト・ワン グループには約2200社の協力会社・パートナー企業がおられ、そのうちコアな約350社と「ミライト・ワン パートナー会」をスタートいたしました(2022年7月)。

目標

2050年カーボンニュートラル実現に向けて「 2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロの実現」を宣言し、2030年度の温室効果ガス排出量の当社グループ(国際航業を除く)の削減目標を2021年度に設定しています。2023年2月には科学的根拠に基づいた目標として、SBTi(Science Based Targets initiative)より認定を受けました。また、中期経営計画においても非財務目標として設定することで、脱炭素における当社事業の成長機会を着実に取り込んでおります。

なお、国際航業は 2023年12月のグループ参画以前の2021年9月に削減目標を設定、SBT認定を取得しております。 

国際航業の関連Webページ:
国際航業 TCFD提言に基づく情報開示

- 2050年温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロを実現

- 2030年度に向けた温室効果ガス排出量削減目標

ミライト・ワン グループ(国際航業を除く)

目標SBT
Scope 1+22030年度までに当社グループの温室効果ガス排出量を2020年度(基準年)比で42%削減する。2023年2月認定取得
Scope 32030年度までに当社グループの温室効果ガス排出量を2020年度(基準年)比で25%削減する。2023年2月認定取得
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国際航業

目標SBT
Scope 1+2+32030 年度までに2019年度(基準年)⽐50%削減する。2021年9月認定取得

※Scope3には、カテゴリ6,7,11での温室効果ガス排出量が含まれます。

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実績

2020年度からの温室効果ガス排出量実績は以下の通りです。

温室効果ガス排出量実績

2023年度 Scope1,2独立第三者の保証報告書(PDF:229KB)
(過去の独立第三者の保証報告書はこちらをご覧ください。)

ミライト・ワン グループ(国際航業を除く)

カテゴリ 排出量
2020年度(基準) 2021年度 2022年度 2023年度
Scope 1 直接排出 66,890 67,907 65,166 61,811
Scope 2 間接排出 22,841 21,277 19,754 12,969
Scope 3 その他の
間接排出
2,471,130 2,413,496 2,222,900 算定中
(9月公開予定)
Category1 購入した
製品・サービス
513,292 452,295 337,073
Category11 販売した
製品の使用
1,892,870 1,848,997 1,814,356
その他 (Category2,3,5,6,7,12,13)
合計
64,968 112,204 71,471※1
Scope1ー3 合算値 2,560,861 2,502,680 2,307,820

※2020 年度(基準)の数値には西武建設(株)の数値を含めています。
※排出量単位:Scope1,2(t-CO2)、Scope3(t-CO2e

※1 付表:その他の内訳

カテゴリ2022年度
排出量(t-CO2e)
Category2資本財32,442
Category3SC1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動13,165
Category5事業から出る廃棄物3,362
Category6出張1,866
Category7雇用者の通勤3,392
Category12販売した製品の廃棄3,163
Category13リース試算(下流)14,081

※Category4,8,9,10,14,15は、当社では該当がありません。

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国際航業

カテゴリ 排出量
2019年度(基準) 2023年度
Scope 1 直接排出 1,523(t-CO2) 1,202(t-CO2)
Scope 2 間接排出 3,961(t-CO2) 1,285(t-CO2)
Scope 3 その他の間接排出 67,483(t-CO2e) 算定中

※Scope1,2 2023年度排出量には、グループ参画前(2023年12月以前)の国際航業における年間の温室効果ガス排出量実績が含まれます。

脱炭素社会の実現

自社オフィス・事業所等における取り組み

工事センターにおける省エネ・創エネ

各地の工事センターは、照明のLED化、電気使用量のデマンド監視システム、屋上を利用した太陽光発電設備等を導入し、省エネ化を進めています。

(株)ミライト・ワンの事業所における太陽光発電設備の年間総発電量

image ※2021年度より、集計範囲を変更しています

節電の推進/再生可能エネルギーへの切り替え

オフィスにおけるエネルギー消費の大部分を占める電気使用量の削減に向けて、当社グループ一体となり、プリンターやコピー機の合理化に伴う台数削減、パソコンの省電力設定や適正な室温設定の徹底、不要な照明の消灯の励行、エレベーターの使用抑制の啓発・促進といった多角的な節電施策を推進しています。

また、各事業拠点における使用電力を再生可能エネルギー由来に切り替える取り組みに注力しており、2022年度は、自社ビルにおける使用電力の28%を再生可能エネルギー由来に切り替えました。

車両の燃費向上/温室効果ガス排出削減

EVやハイブリッド車など低公害・低燃費車への更改を進めるとともに、より環境負荷が低く交通事故削減にもつながる「エコドライブ」を、クラウド型ドライブレコーダーも活用しながら推進しています。また、燃料添加剤による温室効果ガス排出を抑制するなど、全社的な啓発活動と燃費向上、温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。2022年度は、業務で利用する一般車両のうち14%に対し、EVやハイブリッド車への切り替えを実施しました。

image EVへの切り替えを促進

事業による環境保全への貢献

成長戦略のコアとしてグリーンエネルギー事業に注力

事業活動を通したより高効率な社会インフラや最先端のエネルギー関連システムの構築・運用・保守に加え、再生可能エネルギーの供給も進めることで、脱炭素社会の実現を目指しています。

具体的には、企業/環境社会基盤ドメインの環境・社会イノベーション事業において、太陽光を中心とする発電設備の設計・施工・運用・保守、LED照明の設置・保守、EV充電システムの設置・保守、エネルギーマネジメントシステムや蓄電池システムの提供、ZEB(Net Zero Energy Building)のプランナー認証取得等を通じ、脱炭素社会に向けて求められるエネルギーインフラの実現へ貢献しています。また、広域無線センサーネットワークシステムのほか、高効率のスマートエネルギーシステムやスマートシティの実現に向けた動きにも積極的に参画しています。

第5次中期経営計画の2年目である2023年度からは「グリーンエネルギー事業の拡大」を重要な成長戦略のひとつに据え、従来の太陽光発電やEV充電器、蓄電池関連事業に加え、自治体PPAや産業用蓄電所、系統連系線関連事業に全事業組織を挙げて取り組み、2026年度における同事業の売上高300億円の達成を目指しています。

グリーン発電事業主として、太陽光発電プラントを建設

2022年9月より静岡県富士宮市で太陽光発電プラントを建設し2023年3月に稼働、同年4月より小売電気事業者への電気の供給をスタートしました。

本案件は「みらいドメイン」における「グリーンエネルギー事業」の第1号として発電所設備を構築・運用するだけでなく、当社自身が事業主として物件取得/開発/売電を行うなど、事業領域の大きな拡大につながっています。今後も情報通信設備建設や総合設備事業で培ってきた技術力を基盤に同事業の拡大に邁進し、お客様や社会の課題解決、地域の活性化に取り組んでいきます。

再生可能エネルギー事業の領域拡大

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image 発電プラント外観

グリーンで災害に強い水道設備を建設

福島県浪江町では従来より、太陽光発電や風力発電、水素燃料電池、太陽熱収集器等の多種多様な再生可能エネルギーをEMS(Energy Management System)で束ね、地産地消で活用する新しい街づくりに貢献してきました。2022年7月からは、太陽光発電と蓄電池を組み合わせたグリーンで災害に強い水道設備の建設を開始し、2023年3月より稼働しています。各住宅の屋根に太陽光パネルを設置し、発電で得られた電気を蓄電池に充電することで、蓄電池から井戸ポンプ、給水ポンプ等の給水設備へ電源を供給しています。本水道設備は電力系統にも接続されていますが、これは太陽光発電からの電力が長時間途絶えてしまった時に系統から充電するためのもので、系統電力の供給ができない災害や停電の場合でも、動き続けることができます。

また、太陽光で充電し太陽光が無くても72時間は蓄電池で対応できるため、地域社会の安心・安全に貢献しています。

  • image 太陽光発電と蓄電池を組み合わせた水道設備
  • image 蓄電池設

蓄電池関連事業で取引先より表彰

グループ会社の(株)ミライト・エックスは2023年4月、TESLA 製蓄電池Powerwallの販売・施工におけるサービス品質(施工品質・設置後対応)が高く評価され、テスラ社より「Customer Service Excellence Award」を受賞しました。

今後も蓄電池関連設備の建設・保守・運用実績を積み上げることで当分野における知見やノウハウを磨き、グリーンエネルギー事業の売上拡大につなげていきます。

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循環型社会の実現

循環型社会に向けた貢献

当社グループは、事業活動に伴って生じた産業廃棄物を自らの責任において適正に処理し、継続的な資源の利用を意識した環境保全活動を推進し、地球環境負荷の低減を図ります。

産業廃棄物処理方針を制定

当社グループは、資源循環や廃棄物削減への取り組みを持続的な成長と企業価値向上へとつなげていくため、2022年度からの第5次中期経営計画において、2030年度の産業廃棄物最終処分率の目標を策定しました。この取り組みを実効性のある施策として展開するため、2022年7月に「ミライト・ワン グループ産業廃棄物処理方針」を制定しました。

第5次中期経営計画における非財務目標
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2021年度 2022年度
2.19% 3.41%

建設副産物のリサイクル

各工事現場で発生する建設副産物を最小限にし、発生した副産物には再生利用の用途を見出す取り組みを継続しています。その一環として、従来は使い捨ての木製ドラムを使用していたワイヤー(鋼撚り線)巻き付けドラムについて、再利用できる「ECOドラム」に転換する通信建設業界の取り組みに2008年から着手し、現在では一部サイズを除きECOドラムを使用しています。

image ECOドラム

使用品のリサイクル推進

使用後のユニホームやヘルメットを回収し、マテリアル処理(新たな原材料として再利用)によるリサイクルの推進を図っています。

紙使用の削減

(株)ミライト・ワンでは、会議のペーパーレス化を進めるとともに、押印文書廃止と業務プロセス改革により、紙使用の削減に向けた具体的な施策・取り組みを推進しています。

グリーン調達

紙類・文具類のグリーン調達を推進し、グリーン調達率を2025年度末までに80%にすることを目指しています。なお、2022年度の実績は82.5%でした。

環境マネジメント

ISO14001に準拠

当社グループは、グループ各社で環境マネジメントシステム(ISO14001)に準拠・運用しています(認証取得事業所割合: 100%)。各事業所では、業務の環境影響を評価し、著しい環境影響への対策を立ててPDCAを回すことで、継続的な改善につなげています。2015〜2022年の8ヵ年度において、環境関係法令違反、環境問題の原因となる事故・汚染、環境問題に関する苦情は0件でした(国内グループ会社)。

また、これら環境保全活動のPDCAにおいては、主要なパフォーマンス指標(温室効果ガス排出量、電気使用量、ガソリン・軽油等燃料の使用量、紙・一般ゴミ・産業廃棄物の排出量、グリーン購入額等)の実績値をモニタリングや分析に活用するほか、特に電気使用量が増加する夏と冬には、実績値を活用した各職場の独自目標のもとで使用量削減に取り組んでいます。

グリーン開発ガイドライン

当社グループは、地球環境の保全に向けて開発段階で配慮する項目をまとめた「グリーン開発ガイドライン」を2017年度に制定しています。工法、製品、サービスの開発にあたっては関連法規制を遵守するとともに、ライフサイクルを通した環境影響を考慮しています。

取引会社選定・評価における環境基準

統合マネジメントシステムの一環として、取引会社が要求事項に従って製品・サービスを供給する能力を有しているかを判断し、製品要求事項の確実な適合を図るため、取引会社を評価・選定しています。具体的には、一定額以上の取引先に対して供給者評価基準表をもとに評価を実施し、全社内に共有しています。

評価項目には、品質や納期、経営に関する項目に加え、ESGの(E)環境分野に特化した内容も設定し、ISO14001認証取得状況や環境負荷低減への取り組み等についても評価ポイントとして捉えています。

供給者点数評価項目

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水資源への取り組み

水リスク低減/水資源の有効活用への貢献

当社グループは水リスクについて気候変動リスクと同等の重要性を認識し、事業を通じた水リスク低減/水資源の有効活用への貢献の一例として、水道インフラ工事・メンテナンス等を中心とする各種ソリューションの提供に注力しています。

上下水道工事のDX化推進ソリューションを提供

水リスクへの対応や水資源の有効活用の重要性が世界的に高まっているほか、国内では社会インフラの老朽化や就労人口の減少が深刻化するなか、当社グループは、水道インフラの安定的・継続的な運用や水資源の有効活用を支えるべく、毎年数十億円規模の水道エンジニアリング事業を展開しています。

2022年9月には、同事業においてこれまで蓄積してきた経験やお客様の要望を踏まえ、データやICT技術を活用して水道管の劣化診断から施工・保守に至る水道DXソリューションの提供を開始しました。以下の8つのソリューションを通じて水資源にまつわる環境価値を提供しているほか、業務効率化という社会的価値も提供しています。

➀水道管劣化予測・影響度評価・更新計画策定ソリューション
お客様が保有する管路設備データと漏水履歴情報を活用し、AI・機械学習によるアルゴリズムによって水道管の破損リスク、劣化状態を予測。漏水が発生した際のビジネスリスクをマップ上に可視化するほか、コスト条件等を考慮した対応計画を自動作成します。

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➁水道管施工管理ソリューション(photoruction water)
水道管工事に特化した機能を搭載。ICT技術の活用により、施工管理業務の効率化が可能です。

➂水道スマートメーターソリューション
流量データを無線で自動送信し、現地に出向くことなく自動検針、漏水検知、時間ごとの流量把握が可能です。

image 自動検針/漏水検知

➃ドローン水管橋点検ソリューション
ドローン×ICT技術を活用し、水道施設の老朽化による漏水・破損事故の防止に貢献します。

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ドローンにより撮影したデータや赤外線カメラ画像をAI で解析し、錆やコンクリートのひび割れを検出

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➄水質調査ソリューション
環境対策として実施する貯水池の水質や藻の調査をドローンによって効率化。スペクトルカメラでの撮影と画像解析により、藻の発生状況等を確認します。

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➅水道土木エンジニアリング ➆浄水場の建設
上記ソリューションを通じて得たデータを活用し、効率的な水道設備の構築更改を提案していきます。

➇設備監視・運用保守ソリューション
設備導入後の運営と保守を24時間365日のサポート体制で実施し、フルアウトソーシングのニーズに対応します。

強靭な街づくり里づくり

災害や事故の影響を最小限にとどめる

ミライト・ワン グループは、IoT、5G、ICT、エネルギーシステムを含む幅広い領域における当社グループの技術を駆使した環境にやさしく強靭な社会インフラの構築を通じ、持続可能な街づくり・里づくりへ貢献しています。

特に災害や事故の発生時の復旧対応は、通信・ネットワーク環境の守り手としての当社グループの重要な役割であると認識し、2021年8月に発生した豪雨災害や、2020年9月に発生した台風10号、2019年9月・10月に発生した台風15号・19号等、各地で被災した通信インフラの復旧活動を行いました。

自然災害に耐えられる情報通信インフラづくり

情報通信ネットワークが正常に機能していることは、日々の国民生活や産業経済活動にとって不可欠です。当社グループは、風水害や地震をはじめとする自然災害に耐えられる情報通信インフラの構築・運用に一貫して取り組んできました。

その一例として、電線類を地中化し、地震や台風による電柱倒壊を防止する取り組みに注力しています。(株)ミライト・ワンの代表的な事例として、京都を代表する景観地域・先斗町で実施した無電柱化工事においては、狭隘道路であることを考慮し、日本初となる新工法(小型BOX方式)によって施工しました。この新工法は従来工法よりも低コスト・短工期で実施できることから、東京都をはじめ多くの自治体が見学に訪れています。

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また、国内では無電柱化率が低く今後も多くの事業機会が見込まれることから(下図参照)、引き続き、自然災害に耐えられる情報通信インフラづくりを当社の成長機会としていきます。

無電柱化率の国際比較

image 出所:国土交通省資料より当社作成

ドローン技術を活かした災害対応

ドローンを活用したインフラ整備や災害対応等にかねてより注力してきた当社グループは、2021年10月、水道施設の老朽化による漏水・破損事故の増加への対応を目的に、(株)ミラテクドローンによる水管橋点検サービスの提供を開始しました。これは、2020年2月に堺市上下水道局とともに実施した実証実験等の結果、管外面の亀裂や塗装の剥がれ、錆の状況、橋梁のコンクリートのひび割れ等をドローンによって的確に把握できることが実証され、実用化を進めてきたことによるものです。

image ドローンによる水管橋の点検

また、同社は2021年12月、国土交通省と「無人航空機による災害応急対策活動(撮影等)に関する協定」を締結しました。首都直下地震時にドローンを活用した迅速な対応を推進するため、国土交通省の大宮国道事務所と同社を含む7社の間で締結された同協定に基づき、東京23区内において震度6弱以上の地震が発生した際に直ちに出動し、担当路線の被害状況を把握することで、道路啓開や被害施設の早期復旧に貢献します。

加えて、当社と(株)ミラテクドローンは2022年3月、東京都江東区とともに、同区内における災害発生時の土木施設等の被災状況をドローンによって調査する訓練を行いました。同訓練は当社と同区が2020年7月に締結した「災害時のドローン運用に関する協定」に基づくもので、当社は、大規模災害時には同区からの要請に基づき(株)ミラテクドローンとともに直ちに出動し、ドローンを活用して道路や橋梁を中心とした区内の土木施設を点検し、被災状況を早期に把握することが可能です。

  • image 訓練の様子
  • image

生物多様性保全の取り組み

マテリアリティとして「環境にやさしく強靭な街づくり・里づくりへの貢献」を掲げる当社グループは、生態系の保存など生物多様性へも配慮した持続可能な社会の実現に向けて、事業活動だけでなく、ボランティアなど社会貢献活動にも注力しています。

ミライト・ワン米の取り組み

当社グループは、パートナー会社である(株)村山土建が生態系の保存や環境に優しい農業への転換、耕作放棄地の増加への対応や里山の原風景の保存等を目的に手掛けている「米づくり」に賛同し、その農作業の一部を社員によるボランティアでお手伝いしています。

2023年度も従業員およびそのご家族と、当社代表取締役社長がボランティアに参加し、田植え作業や、稲刈り作業を行いました。

収穫された米は「ミライト・ワン米」として活用することで「棚田を守る」活動の支援に繋げています。

今後もこのような活動を通じた自然環境と生物多様性の保全に取り組んでいきます。

  • image 田植え作業
  • image 天日干し
  • image 稲刈り作業
  • image ミライト・ワン米