コーポレートガバナンスの強化
基本的な考え方
ミライト・ワンは、社会的責任を有する企業としての経営の重要性を認識し、意思決定の透明性・公正性を確保するための組織体制や仕組みの整備を実行し、株主をはじめとする全てのステークホルダーとの信頼関係を構築していくことが、経営上の最も重要な課題のひとつと位置づけています。
当社は、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現がステークホルダーとの信頼関係の構築に不可欠と認識しており、
- 株主の権利・平等性の確保
- 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
- 適切な情報開示と透明性の確保
- 取締役会等の責務の履行
- 株主との対話
の充実により、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めていくこととしています。
ガバナンス体制
当社は、監査等委員会設置会社であり取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しています。
監査等委員会並びに内部監査部門、会計監査人はそれぞれ独立した監査を行うとともに、相互に連携を図る体制をとっています。
また、三線ディフェンスの考え方に基づくガバナンス体制および内部監査体制の充実を図り、監査等委員会と内部監査部門の連携強化により、コーポレート・ガバナンスの強化を図るとともに、経営の健全性と透明性の向上および迅速な意思決定を図り、さらなる企業価値の向上を目指しています。
ガバナンス体制図

取締役候補の指名方針・手続
取締役候補の指名にあたっては、社内外から幅広く候補者を人選し、独立社外取締役を委員長とする指名・報酬委員会に諮問し、その答申を踏まえ、優れた人格・見識と高い経営能力を有する候補者を取締役会で決定しています。
※取締役個々の選任理由等については、「株主総会招集ご通知」に記載しています。
独立社外取締役の有効な活用
当社では、会社の持続的成長を促し中長期的な企業価値向上を図る観点からの助言を期待するとともに、当社取締役会において、株主をはじめとしたステークホルダーの意見を踏まえた意見提起を期待し、独立社外取締役を複数名選任しております。
現在、当社役員は、14名の監査等委員でない取締役(うち社外取締役4名)および監査等委員である取締役5名(うち社外取締役3名) の計19名(うち3名が女性)により構成しており、7名全員の社外役員を東京証券取引所の定めに基づく独立役員として届け出ております。
当社の取締役の構成は、2022年定時株主総会終了時点で、独立社外取締役による客観的かつ独立的な立場からの意見を会社経営に取り入れることのできる体制となっております。 なお、独立社外取締役の取締役会への出席率は良好であり、また、それぞれ自らの知見に基づき、経営を監督するとともに経営の方針や経営改善等について活発な発言をいただいており、当社が期待する役割を十分に果たしていただいております。
設置機関の概要

会計監査人の状況

取締役のスキルマトリックス

ジェンダーや国際性等を含む多様性と適正規模を両立した取締役会の構成
取締役会の構成については、様々な事業分野を統括する持株会社として経営戦略、国際戦略、財務、人事等の各専門分野において豊富な経験・優れた知見を有する方を選任することとし、人材のバランスに配意しています。
さらに社外取締役については、長年にわたる企業経営の実務経験を有する方、企業法務・財務の専門家、学識経験者等に外部からの視点をもって、取締役会に参画していただくことにより、透明性の確保と企業価値の向上につなげることとしています。
取締役会の規模については、持株会社としての機能を十分に発揮しつつ、一部の役員については主要グループ会社と兼任することで、より効果的・効率的な体制としています。
なお、当社は、女性役員として取締役3名を選任しています。
取締役に求める専門性と経験は前出「取締役のスキルマトリックス」の通りです。
取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための取り組み
取締役会は「取締役会規程」に基づき毎月1回のほか、必要に応じて随時開催しており、2021年度は20回開催しました。また、取締役会においては、社内規程に基づき取締役会に付議すべき事案は全て審議され、各事案について活発な意見交換がなされるとともに、四半期ごとに各取締役の職務執行状況についても報告されています。なお、取締役会の実効性評価も継続的に実施し、その機能の向上を図っています。
また、コーポレートガバナンス・コードを踏まえ、指名・報酬に関わる客観性を向上させるため、取締役会のもとに任意の諮問委員会である「指名・報酬委員会」を設置しており、2021年度は7回開催し、その全てに全委員が出席しました。
独立社外取締役は代表取締役とのミーティングを定期的に実施し、取締役の職務執行に対する監視機能を強化しています。
監査等委員の監査が実効的に行われることを確保する取り組み
監査等委員は、稟議書等を常時閲覧するほか、取締役会および各種委員会等に出席し、会社の重要な意思決定プロセスおよび業務の執行状況を把握しています。また、監査等委員と代表取締役社長、会計監査人等が意見交換を行うことにより意思疎通を図り、監査等委員の監査が実効的に行われることを確保しています。
取締役会の実効性評価
取締役会において法令等の遵守状況、リスク管理や情報共有の状況、課題解決のスピード感など、取締役の職務執行についてチェックを行っているほか、代表取締役と社外取締役とのミーティングを開催するなど、取締役会全体の実効性の確保に努めています。
また、年に一度、全取締役を対象とし、取締役会全体の機能向上と、当社のコーポレート・ガバナンスの目指す方向性についての認識の共有を目的として、取締役会の実効性に関する自己評価を実施しています。
具体的には、取締役会の構成、取締役会の運営状況、取締役会の責任・機能、社外取締役からみた取締役会の状況を主な評価項目として、忌憚のない意見が聴取できるよう、匿名のアンケート方式により自己評価を行い、さらに収集にあたっては守秘義務のある外部の弁護士事務所で行うとともに、収集したアンケート内容については第三者機関が分析しています。同分析の結果をもとに、当社の取締役会では、現状の検証・評価を行い良好な結果を得るとともに、取締役会に関わる課題について議論を継続しています。
【2020年度に実施した実効性評価の概要と対応結果】
〔主な意見〕
2022年度早期に予定していた経営統合後の新会社のありたい姿や企業理念、長期的なグループ全体の方向性、実現するためのガバナンス体制等、新会社の骨格に関する事項やグループ会社の増加、新会社を想定したリスク管理体制と運用面のさらなる充実などについて議論を深めるべき。
↓
〔実施した対応策〕
中長期的な経営戦略や経営課題について取締役会メンバーにより自由な意見交換を行う場である「審議の場」(2017年度に設置)等での議論を通じ、取締役会における議論をさらに深めるなど、継続的に実効性の維持・向上に努めました。
【2021年度の実効性評価の概要】
〔主な意見〕
2022年7月の新統合会社発足に伴い、取締役会の構成に関すること、指名・報酬委員会の役割に関すること、およびグループ全体のリスク管理体制の再構築と効率的な運用方針について議論を深めるべき。
↓
〔実施中の対応策〕
「審議の場」等での議論を通じ、取締役会における議論をさらに深めるなど、継続的に実効性の維持・向上に努めています。
取締役に対するトレーニング
取締役については、定期的に自らの役割や法的責任等について認識を深めるために役員研修を実施しています。研修は、コーポレート・ガバナンスの意義やインサイダー取引、建設業法等の基本的な事項から、企業不祥事やトラブルに関する事例研究などを内容としています。
また、社外取締役等に対し、適宜、当社の事業内容や現状についての理解を深めるため、事業会社事業所視察や工事現場視察等の機会を提供することとしています。
最高経営責任者等の後継者計画・育成
最高経営責任者等経営幹部の後継者計画・育成については、経営理念や経営戦略を踏まえて適切に行っており、最高経営責任者の選任については、独立社外取締役を委員長とする指名・報酬委員会に諮問し、その答申を踏まえ、取締役会で決議することとしています。
役員の報酬等
基本方針
取締役の報酬については、取締役会の承認を経た上で株主総会でその総額(限度額)を定め、個別の取締役報酬は各役位の役割と責任に応じた報酬体系としています。
また、取締役の個人別の報酬等の内容に関する決定方針については、客観性・透明性の向上を目的に、取締役会の諮問機関として独立社外取締役4名と代表取締役社長で構成される「指名・報酬委員会」(委員長は独立社外取締役)において、審議した結果を取締役会に答申し、その答申を踏まえて取締役会で決定しています。
監督機能を担う社外取締役については、その職務に鑑み、月例の基本報酬のみを支払うこととしています。
※役員の報酬等の詳細については、「有価証券報告書」に記載しています
業績連動報酬制度の導入
役員の報酬と当社業績および株式価値との連動性をより明確にし、中長期的な業績並びに企業価値の向上への貢献意識を高めることを目的として、業績連動型株式報酬制度「株式給付信託」を導入しています。
業績連動報酬に係る指標は、グループ会社の業績並びに企業価値の向上への貢献意識を高める上でわかりやすい指標として、当社「連結営業利益」および「ROE」を選択し、「役員株式給付規程」に基づき設定した基準ポイントをもとに、当社「連結営業利益」および「ROE」に応じた業績連動係数を乗じて計算される数のポイントを付与し、退任時に1ポイント1株の株式を給付しています。
また、2022年度より経営陣のESGの取り組み意識の向上を図るため、業績連動報酬の指標に、連結ESG指標として「GHG削減目標」を追加しました。
金銭報酬の額、業績連動報酬等の額の割合

※インサイダー取引規制等を考慮して、経営者意識および株主価値向上への共通目標意識を高めるため、全取締役(社外取締役を除く)に対して役員持株会へ月例報酬の10%以上を拠出することを要請しており、実質的には、固定報酬72%、変動報酬が28%、非金銭報酬(株式報酬)が14%になっています
取締役の個人別の報酬等の決定に係る委任に関する事項
2021年度においては、2021年6月24日開催の取締役会決議に基づき、株主総会で決議した総額の範囲内で、指名・報酬委員会に諮問することを前提に、各取締役の基本報酬の額および各年度の業績を踏まえた賞与の額の決定を代表取締役社長の中山俊樹氏に一任する旨の決議をしています。これらの権限を一任した理由は、当社全体の事業を俯瞰しつつ各取締役の担当業務遂行の評価を行うことについては、代表取締役社長が最も適任であると考えられるためです。
役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数

役員ごとの連結報酬等の総額等
連結報酬等の総額が1億円以上である者が存在しないため記載していません。
関連当事者間の取引
取締役が行う競業取引および利益相反取引は、取締役会での審議・決議を要することとしているほか、取引の状況について取締役会に定期的に報告することとしています。
役員に対しては、「関連当事者に関する確認書」の提出を求めており、自身および近親者、代表となっている団体、過半数の議決権を有する団体等の関連当事者との取引について、取引の有無を把握しています。
また、主要株主との取引については、社内規程に則り、会社や株主共同の利益を害することのないよう取引の妥当性を決裁権者が確認し、特に重要な取引については取締役会に報告することとしています。
政策保有株式
投資株式の区分の基準および考え方
当社グループは、投資の目的が
ア.保有先の企業との取引関係を維持・強化
イ.提携業務を推進するため、その協力関係を維持・強化
ウ.効率的な施工のための連携等
の場合は、純投資目的以外の目的である投資株式と区分し、それ以外の目的で投資する場合は純投資目的として区分して保有しています。
純投資目的以外の目的である投資株式について保有方針および保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
ア. 保有方針
当社グループは、取引先の株式を保有することで当社グループの企業価値の向上や株主の利益につながると考えられる場合は、株式を保有することとしています。保有目的と取引状況等を確認し、定量的・定性的検証を通じ当該株式の保有の意義が希薄と考えられる株式は、売却等により段階的に縮減します。
イ. 保有の合理性を検証する方法
純投資目的以外の目的である投資株式についてリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しについて、定量的・定性的な検証を実施しています。
ウ. 個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容
当社グループが保有する純投資目的以外の目的である投資株式について、保有目的や取引状況等の調査を行い、年1回取締役会にて、個別銘柄ごとに、保有に伴うリターンやリスクが資本コストに見合っているか、保有目的や今後の事業動向等を定量的・定性的に検証し、保有の適否を判断しています。
検証の結果、「保有の意義が希薄」と考えられる株式は、株価等を考慮しながら随時売却を進めています。また、グループ全体の純投資目的以外の目的である投資株式の保有および縮減の状況は、毎年の検証を通じて管理していきます。なお、2021年度は、上記方針等に則り、9銘柄を売却しています。
適時開示の実施、インサイダー情報の管理、フェア・ディスクロージャー対応
当社は、ホームページ等で公表している「ディスクロージャーポリシー」に則り、TDnetやEDINETによる適時・適切な情報開示を行っています。加えて、当社ホームページやプレスリリースなども活用し、より広範な情報開示に取り組んでいます。また、IR活動で使用する資料などは、株主・投資家の皆様にわかりやすく、有益な情報を提供できるよう努めています。
なお、株主・投資家の皆様との面談に際し、未公表の重要情報を保有している場合は、「内部者取引規制に関する規程」に則った適切な情報管理を行うことを徹底しています。
コミュニケーションの充実に向けた取り組み
IR活動は、情報取扱責任者である取締役財務経理本部長を責任者として、担当部署であるIR部が実施しています。株主・投資家の皆様との面談については、可能な限り、責任者自らが対応しています。また、アナリスト・機関投資家を対象とした決算説明会を年2回開催し、説明会の様子についてはホームページなどで配信しています。海外の機関投資家に対しては、重要情報の英語でのタイムリーな情報提供に努めるほか、北米・欧州・アジア地域において海外IRを実施しています。なお、決算説明会および海外IRは、株主・投資家の皆様と建設的な議論を促進するため、原則として代表者自らが説明を行うこととしています。
加えて、当社事業への理解を深めていただけるよう、個人投資家を対象としたネットライブを活用したオンライン会社説明会や、証券会社などが主催する個人投資家説明会にも適宜参加しています。なお、株主・投資家の皆様からいただいたご意見などは、取締役会・グループ社長会議において経営陣にフィードバックしています。このほか、全ての株主の皆様宛に業績やトピックスをまとめた冊子「ミライトレポート」を年2回送付しています。
株主総会の活性化に向けた取り組み
株主総会の運営については、招集通知のカラー化や映像を利用した事業報告を行うなど、株主にわかりやすい運営を目指しています。招集通知、参考書類および報告書は、当社ホームページにも掲載しています。
2022年6月14日に開催した第12回定時株主総会においては、新型コロナウイルス感染症対策として、株主総会の規模を縮小して開催しましたが、ご出席されなかった株主の皆様等にも理解を深めていただけるよう、当社ホームページで事前に事業報告の動画を掲載するとともに、株主総会当日は総会模様の映像をライブ配信しました。また、総会模様についてはライブ配信をご視聴できなかった株主様向けに事後においても当社ホームページに総会模様の動画を掲載しています。