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キヤノンITSデータセンターの取り組みを紹介!電力消費量やCO2排出量を削減のポイント

2023年9月19日

キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)が所有・運営する「西東京データセンター」は、東京駅から約21kmの都市近郊型のデータセンターだ(場所は非公開)。1号棟は2020年10月からサービスを開始し、2号棟は2020年10月に竣工している。

1号棟は地下1階~地上4階建てで延べ面積16,964平方メートル、ラック数は2,300ラック、2号棟は、地下2階~地上3階建てで延べ面積は17,107平方メートル、ラック数は最大2,880ラックである。

西東京データセンター(出典:キヤノンITソリューションズ) イメージ
西東京データセンター
(出典:キヤノンITソリューションズ)

同データセンターの設備は、環境に配慮した「グリーンデータセンター」をコンセプトに構築されている。

データセンターの省電力は、一般的にPUE(Power Usage Effectiveness)値で評価されることが多い。PUEとは、データセンター全体の消費電力をサーバ、ストレージ、通信機器などのICT機器の消費電力で割った値で、1.0に近いほど、空調などのICT機器以外の電力消費が少なく、効率的だといわれている。同データセンターのPUEは1.4(設計値)と1.5を切り、効率的なデータセンターになっている。

電力消費量の削減に向けた取り組み

「西東京データセンター」では、電力消費量の削減に向けた取り組みとして、サーバルーム用の空調にサーバの負荷に応じて稼働する空調機を自動調整する機能を導入。また、サーバ室内の環境を変えることなく、冷気と暖気を各ゾーンに分割することで空調効率を高めている。さらに、冬季には冷たい外気を利用することで、空調機の負荷を軽減している。

そのほか、ほぼ全館にLED照明を採用し、CPU室には人感センサーを導入し、センサーから直径5m以内で15分間、人を感知しなければ消灯するしくみを導入した。

東京都の「優良特定地球温暖化対策事業所」に認定

「西東京データセンター」は、CO2排出量を抑え、環境負荷低減を実現する「空調機の運転周波数適正化」や、冬季期間の外気を利用しながら効率よく熱交換を行う熱源設備「フリークーリング」の導入などの取り組みが評価され、1号棟は2020年に、東京都環境局により「優良特定地球温暖化対策事業所」(準トップレベル事業所)に認定された。2号棟も、1号棟同様に評価され、2棟を有する1つの事業所として、2023年3月に「優良特定地球温暖化対策事業所」(準トップレベル事業所)の認定を更新した。

「優良特定地球温暖化対策事業所」は、「地球温暖化の対策の推進の程度が特に優れた事業所」として、「知事が定める基準」に適合する事業所を東京都が認定している。

評価された主な項目としては、以下の4点がある。

・事業部門、CSR推進部門と合同で毎月CO2削減会議を開催し、事業所電力負荷に合わせて、運用方法及び省エネ対策案の検討を実施している点。
・空調機インバータ制御、ECファンの導入、熱源ポンプのインバータ制御など、高効率設備を導入している点。
・冬季の外気が低い期間に熱源機を稼働させずに冷水を作る仕組みであるフリークーリングを導入している点。
・BEMS(Building Energy Management System)を活用することで、熱源機器等のエネルギー分析を実施して、高効率な設備運用を実施している点。

CO2削減会議では、西東京データセンター長をオーナーに「CO2削減会議」組織を設置。削減施策の立案、実施、検証を定期的に行っている。

西東京データセンターの取り組み(運用)(出典:キヤノンITソリューションズ) イメージ
西東京データセンターの取り組み(運用)
(出典:キヤノンITソリューションズ)

高効率設備では、冷水使用温度をCPU室系統と事務室系統に分けて、CPU室系統に高温冷水を送水することで、冷凍機のCOP(消費電力1kW当たりの冷房・暖房能力kW)の向上を図っている。また、水冷ターボ冷凍機(冷水を作る装置)と空冷モジュールチラー(装置の温度を調整する機器)を組合せ、負荷の増加に合わせ段階的に実装している(CPU室系は水冷ターボ冷凍機+空冷モジュールチラーとし高効率型を採用)。

西東京データセンターの取り組み(設備)(出典:キヤノンITソリューションズ) イメージ
西東京データセンターの取り組み(設備)
(出典:キヤノンITソリューションズ)

フリークーリングでは、冷却塔での外気との熱交換により得られる低温冷却水を使い、空調用冷水を製造することで冷凍機の負荷を軽減。CPU室負荷がフリークーリング稼働条件値に達する時期を見極め、フリークーリングを運用し、省エネを推進している。

高効率な設備運用では、センター設備の稼働状況を常に監視し、週次報告書、月次報告書を作成。週次報告書をもとに週次での定例ミーティングを開催。設備管理者とセンター運用スタッフ間で設備稼働状況について共有認識を持ち、課題の洗い出し、対応策を検討している。

そのほか、サーバ負荷の増減や、給気温度の上昇が発生した際に都度、床面吹出し開口部を移設・増設し、冷却するための冷たい空気の通り道の温度が一定となるように開口部の最適化を図っている。

また、未使用ラック列にはキャッピング(ラックとラックの間の通路を壁や屋根で覆い、高温排熱の再循環を防止するしくみ)を実装しない運用としていたが、運用方法を見直し、未実装箇所全てについて、キャッピングを実施している。

今後は、省エネ活動を客観的に評価することを目的に、「優良特定地球温暖化対策事業所(トップレベル事業所)」認定取得を目指すという。

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