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平時でも非常時でもドローンが活躍する嬬恋村
人口減少や高齢化をはじめ、インフラの老朽化、気候変動による災害の激甚化など、地方が抱える農業と防災の課題は密接に関連している。その課題解決に向けた取り組みとして、群馬県の嬬恋村では「ドローンを活用した『フェーズフリー型』スマート農業およびスマート防災DX」が、内閣府の地方創生推進事務局が実施する「未来技術社会実装事業」に採択された。
未来技術を活用した地方創生の取り組みを内閣府が支援
嬬恋村が採択された「未来技術社会実装事業」は、内閣府の「地方創生2.0基本構想」および「地方創生に関する総合戦略」における地方創生の施策に組み込まれている。その目的は「AIやIoT、自動運転、ドローンなどの未来技術を活用した地域課題の解決と地方創生を目指す」となっており、先導性と横展開可能性などに優れた地方公共団体の取り組みに対して支援体制を構築する。加えて、関係府省庁による総合的なサポートによって、地域における未来技術の実装を支援する。
同事業では、未来技術を活用した地方創生に取り組む地方公共団体に対して、3年間で一部実装、5年間で本格実装を目指し、複数年にわたる伴走型の支援が実施される。すでに、2018年度から2025年度までに合計59事業が選定されており、そのうちの46事業は2024年度末までで支援が終了。2025年度に採択された嬬恋村を含む、残り13事業に対しては支援が継続されている(2026年1月現在)。
嬬恋村以外に支援が継続されている取り組みとしては、茨城県常陸太田市の「自動運転の社会実装を見据えたMaaS × eコマース 推進事業」や千葉県東庄町の「利根川を利用したドローンによる物流ルート設置事業」、大阪府豊中市の「子育てフリータイムプロジェクト」などがある。

(図1)内閣府が進める「未来技術社会実装事業」の事業イメージ(出典:内閣府の資料より引用)
フェーズフリーによるドローン活用を農業と防災に生かす
嬬恋村は夏の冷涼な気候を活かした高原野菜の栽培が盛んで、高原キャベツの産地としても知られる。一方で、農業就業人口が5年で20.7%減少したことで、1戸あたりの農地の管理面積が増加。標高1,000m以上の山間地という地理的特性もあり、人手に頼る手法のままでは適切な農地管理が難しく、キャベツの年間生産量維持には生産効率向上が必要となった。また、防災と農業が別々の仕組みとして運用されているため、限られた人員のままでは人的・物的リソースが効率的に活用できず、豪雨などの災害時の初動体制構築に限界がある。
こうした状況から、嬬恋村では人口減少下においても「夏秋キャベツ生産量日本一」を維持するため、未来技術を駆使して安定的かつ効率的な維持産業基盤を確立しようとしている。これによって、次世代に継承できる持続可能な農業モデルの確立を目指そうというのだ。
山間地特有の災害リスクに対しても、身の回りにあるものやサービスを平時と非常時のどちらの状況にも役立つようデザインする、フェーズフリーの考え方を採用。平時の営農活動で得られるさまざまなデータや設備を防災にも活用する、フェーズフリー型の地域防災モデルを構築する。ドローンの運用やAI、IoTの活用などは民間の力を借り、官民連携による取り組みによって、限られた地域資源を最大限に活用できる持続可能な村づくりを実現しようとしている。

(図2)嬬恋村の取り組みの全体概要(出典:内閣府の資料より引用)
AIやIoT、ビッグデータもフェーズフリー型で農業と防災を支援
フェーズフリー型地域防災モデルでは、平時はGNSSを活用して位置精度を向上させたドローンを、キャベツ畑の生育状況監視や農薬散布前の測量時などに使用。災害時には、高品質な被災状況確認マップの早期作成など、被災状況把握に転用する。このように、平時からの運用体制を確立しながら、ドローンのみならずトラクターを始めとする他の農機具などを含めた、自動運行も想定した仕組みづくりを推進しようとしている。一方で、その運用を担う操縦士や農家には情報共有ツールが提供され、災害訓練を兼ねた定期運用での情報収集も合わせて行い、初動対応の迅速化に役立てる。
一方、AIの活用においては、定点データのAI画像解析によって地形変動を観測し、災害訓練を兼ねた定期データの収集や収集画像などの画像解析によって観測と予測を行う。また、IoTを活用したフェーズフリー型防災DXプラットフォームを導入し、平時は事業者の業務管理システムとして民間が活用し、災害時は災害支援業務管理システムとして官民が共同活用する。さらに、災害訓練を兼ねた平時定期収集データの2次利用環境を構築し、農地データを自動運転や生育観測などに生かし、山林データを獣害対策や地形変動観測などに生かそうとしている。

(写真)ドローンによる農薬散布(出典:スカイビュージャパンのプレスリリースより引用)
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