拡大するデータセンター市場における省エネ・脱炭素を目指した対策について イメージ
#データセンター #省エネ #カーボンニュートラル

拡大するデータセンター市場における
省エネ・脱炭素を目指した対策について

2023年9月19日

デロイト トーマツ ミック経済研究所が発表した「省エネ・ゼロエミッション化に向けたデータセンター市場の実態と将来予測(2022年度版)」によると、データセンター市場は2020年度の3.6兆円から2026年度には6.2兆円にまで成長すると見られている。一方で、日本では脱炭素社会に向けて、2050年までにCO2排出を実質ゼロにする「2050年のカーボンニュートラル」の実現に向け、データセンターも実質CO2排出ゼロの目標が定められた。データセンター事業者は市場伸長に合わせた規模の拡大だけではなく、効率的なデータセンター運用と省エネ・脱炭素を目指した対策を考える必要性に迫られている。

資源エネルギー庁がデータセンターにも省エネのベンチマーク指標を設定

資源エネルギー庁は2016年から、各産業分野において事業者の省エネ状況を業種共通の指標を⽤いて評価。各事業者が⽬標の達成を⽬指して省エネの取り組みを進めるために、業種・分野別のベンチマーク制度を施行した。2022年には、今後のエネルギー使用量の大幅な増加を見込み、データセンターをベンチマーク制度の対象業種として追加している。同制度のベンチマークの指標としては、データセンターのエネルギー消費効率についての国際的な指標であるPUEを使用している。ベンチマークの目標値については、上位15%程度の事業者が満たす水準となるよう1.4に設定された。

(図1)資源エネルギー庁が定めた省エネ実現に向けたデータセンターのベンチマーク指標(出典:資源エネルギー庁の資料より引用)
(図1)資源エネルギー庁が定めた省エネ実現に向けたデータセンターのベンチマーク指標
(出典:資源エネルギー庁の資料より引用)

データセンターを構成する施設には、サーバやストレージ、ネットワークスイッチなどといった、いわゆるICT機器が設置されている。したがって、データセンターの省エネといえば、基本的にはこうしたハードウェアに対しての省エネ対策を行うことになる。現在、さまざまなハードウェアメーカーによって、新しい省エネ化の取り組みが進められている。

液体でデータセンターのIT機器を冷却する液浸冷却装置

KDDIと三菱重工業、NECネッツエスアイは、液体でIT機器を冷却する液浸冷却装置の大規模構成での利用を想定した実証実験を行ったと発表した。液浸冷却方式は、サーバなどのハードウェアを特殊な液体の中で直接冷却する方式で、従来の空気での冷却と比べ、エネルギー効率の高い次世代の方式として注目されている。

実験ではKDDI小山ネットワークセンター内に、100kVA相当のサーバなどのIT機器と液浸冷却装置を収容して試験運用した。さらに、最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置を開発し、データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化性能を計測している。

その結果、従来型のデータセンター(PUE値1.7のデータセンター)と比較して、サーバ冷却のために消費される電力を94%削減し、資源エネルギー庁が定めたベンチーク指標になっているPUE値で1.05を実現している。また、データセンターの品質を評価・格付けする基準のうち、付帯設備の冗長性などによってデータセンターとしての品質が最も高く維持されているとされる、ティア4レベルでの安定稼働に成功した。

(図2)実証実験で利用された液浸冷却装置およびフリークーリング装置の構成(出典:KDDI・三菱重工業・NECネッツエスアイのプレスリリースより引用)
(図2)実証実験で利用された液浸冷却装置およびフリークーリング装置の構成
(出典:KDDI・三菱重工業・NECネッツエスアイのプレスリリースより引用)

NTTデータも、三鷹データセンターEASTにおいて液浸冷却方式を採用したデータセンター冷却システムを構築し、実機検証を実施したことを発表。

その結果、同じく従来型のデータセンターと比較して、サーバ冷却のために消費される電力を最大97%削減でき、サーバ機器やネットワーク装置類の安定稼働を確認した。さらに、メンテナンスを含めた機器運用に関する実用面の課題抽出を完了したという。なお、PUE値は推定で1.07を実現したとしている。NTTデータは本実機検証で得られた結果を踏まえ、2023年度中に液浸冷却システムを活用した省エネデータセンターサービスの実装・提供に向け取り組む。

(図3)NTTデータが構築した液浸冷却システムの概要(出典:NTTデータのプレスリリースより引用)
(図3)NTTデータが構築した液浸冷却システムの概要
(出典:NTTデータのプレスリリースより引用)

データセンター内での通信を光信号に変換して省エネを実現

ハードウェアによる性能そのものをアップグレードして、データセンターの省エネを実現しようとする取り組みもある。データセンターで使用されるサーバなどのハードウェアにおいては、電気信号を送受信する一般的な銅製の配線では信号の損失が大きく、実際に送信できるデータ量以上の出力が必要になる。

そこで、データセンターの省電力化実現のために京セラが開発したのが、サーバ内のプリント配線板に搭載し、プロセッサから出力される電気信号をより早い段階で光信号に変換する「オンボード光電気集積モジュール」だ。モジュール本体を小型化することで、プロセッサ付近に搭載。プロセッサから送られる信号を、すぐに損失の少ない光配線化し、受信の際もプロセッサに届く直前まで光信号で送る。これによって、データの伝送に必要な電力を従来より4割ほど削減でき、データセンター全体の消費電力が抑えられるという。

(図4)プリント配線板に搭載して通信を光信号に変換する光電気集積モジュール(出典:京セラのプレスリリースより引用)
(図4)プリント配線板に搭載して通信を光信号に変換する光電気集積モジュール
(出典:京セラのプレスリリースより引用)

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