IoTを活用したロボットの事例や補助金、導入時の注意点を解説

2023年10月16日

ロボットの活用範囲は広がっており、さまざまな技術の発展によって製造工場のラインロボットだけでなく、飲食店の配膳サービスや家電など、身近な場所でもロボットが利用されるようになった。

さらに、IoTの進展でロボットがネットワークと接続できるようになると、遠隔操作が可能になり、人手不足の解消や生産性の向上に役立つ。

この記事では、 IoTを活用したロボットが産業や医療、サービス業などの幅広い分野でどのように利用されているか事例を紹介する。

IoT化したロボットを導入する際の注意点や補助金も解説しているので、導入に向けた参考にしてほしい。

IoTを活用したロボットとは

IoTを活用したロボットとは イメージ

IoT(Internet of Things)とは、あらゆるモノをインターネットやネットワークに接続する技術のことで、「モノのインターネット」と訳される。

ロボットをIoT化することで、ネットワーク経由で遠隔からロボットを動かせるようになるだけでなく、 ロボットの動きを把握してデータの収集や蓄積が可能となる。 現在、産業やサービス業、医療など、さまざまな分野でIoTと組み合わせたロボットが活用されている。

IoTとAI・ビッグデータ・5Gとの違い

IoTと一緒に使われるケースが多い最新技術として、 AIやビッグデータ、5Gがある。 それぞれの概要は、次のとおり。

最新技術 概要
AI 「人工知能」と訳され、コンピュータがデータを人間のように学習して理解し、推論する技術。
ビッグデータ 巨大なデータの集合体。AIが解析することで、高度で正確な判断を迅速に行えるようになる。
5G 「第5世代移動通信システム」のことで、高速かつ大容量通信を実現する。

IoTでロボットの活用を促進するには、5Gの技術が欠かせない。 ロボットを遠隔制御するには、IoTデバイスとの安定的な通信が不可欠となるからだ。

株式会社ミライト・ワンでは、ローカル5Gのエリア設計や免許申請対応をサポートしている。ローカル5Gを導入することで、たとえば工場における生産工程のDXを促進できる。詳しいサービス内容については、以下のページを参考にしてほしい。

ローカル5G無線エリア構築ソリューション|株式会社ミライト・ワン

国内IoTの市場規模

次に、国内IoTの市場規模を見てみよう。2023年、IT専門調査会社であるIDC Japan株式会社が報告した市場予測は、次のとおり。

・2022年の実績は約5兆8,000億円
・2022年?2027年の年間平均成長率は8.5%
・2027年の予測実績は約8兆7,000億円

<2022年と2027年の比較>

2027年までの5年間での年間成長率は、サービス(導入・運用サービスなど)が10.9%、ソフトウェアが11.8%、コネクティビティ(通信サービスなど)が4.6%、ハードウェアが5.9%と、 ソフトウェアの年間平均成長率がもっとも高いと予測されている。

IoTの市場規模が拡大することでソリューションの選択肢が増え、 製造業においてさらなる業務効率化が実現するだろう。

IoTを活用したロボットの事例

IoTを活用したロボットは、さまざまな業界で利用されている。ここでは、 次の4つの事例 を紹介する。

サービスロボット
産業用ロボットアーム
医療用の手術ロボット
IoT家電

それぞれ、詳しく見ていこう。

サービスロボット

「サービスロボット」はコロナ禍で非接触の需要が高まったことから、飲食店などでも使われ始め、身近な存在になりつつある。 人や障害物を避けながら自動で動き、現場の人手不足解消に役立つ。

(出典:株式会社ミライト・ワン|AI コミュニケーションロボット'temi') イメージ
(出典:株式会社ミライト・ワン| AI コミュニケーションロボット"temi"

株式会社ミライト・ワンは、AIコミュニケーションロボット「temi」を提供している。temiは、 遠隔地から操作できるロボットで、離れていても人が側にいるかのような存在感を与える。

ホテルや病院、ホームセンター、市役所など幅広い施設で活用でき、来訪者の案内や誘導を的確に行う。ミライト・ワン グループでは、販売から保守までサポートしているので、以下のページをチェックしてみてほしい。

AI コミュニケーションロボット"temi"|株式会社ミライト・ワン

産業用ロボットアーム

IoTと接続した「産業用ロボットアーム」を活用すると、 安全性や生産性の向上が期待できる。 ロボットアームは、物流倉庫で商品の選択や仕訳、生産ラインの品質検査、製品をパレット上に積載するパレタイジング作業などで使用でき、高い精度を発揮する。

さらに工場自体をIoT化、つまりネットワークでつなげて工場の設備データを見える化することで、効果的な管理が実現する。

医療用の手術ロボット

ロボットを使った遠隔手術の実証実験 も始まっている。2021年、メディカロイドが開発した「国産手術支援ロボット」を使用して、模擬手術の実証実験が行われた。

この実験では神戸大学医学部附属病院と神戸国際医療交流財団が連携し、遠隔操作のための高精細な映像とロボット制御信号の伝送に成功している。今後は5Gの普及により、 遠隔地の患者に対するオンライ手術の環境整備が進むだろう。

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IoT家電

「IoT家電」とは、 インターネットに接続された洗濯機やロボット掃除機、冷蔵庫などのことで、スマートフォンのアプリを使って遠隔から操作できる。 たとえば洗濯物を洗濯機の中に入れておくだけで、帰宅時間に合わせて洗濯が終了するよう遠隔操作が可能に。

ロボット掃除機の稼働状況もスマートフォンのアプリから操作でき、外出中でも掃除を完了できる。さらに冷蔵庫をIoT化すると、スマートフォンのGPS情報から冷蔵庫内の温度を最適な状態に自動調整するため、節電につながる。

IoTを活用したロボットを導入する際の注意点

IoTを活用したロボットを導入する際の注意点 イメージ

IoT化したロボットの導入時に、 注意すべき3つのポイント を紹介する。

セキュリティ対策が必要となる
多大な初期費用がかかる
専門知識を持つ人材が必要となる

それぞれの注意点について、詳しく説明していく。

セキュリティ対策が必要となる

IoT化したロボットの導入時は、セキュリティ対策を講じることが極めて重要となる。IoTと接続したロボットに適切なセキュリティ対策を適用していなければ、 サイバー攻撃の脅威にさらされるからだ。

アクセス制限やセキュリティルールの明確化と社内共有、総合脅威管理(UTM)などの導入で、 社外からの不正な攻撃や社内の情報漏えい対策 などを実施する必要がある。

多大な初期費用がかかる

IoTを活用したロボットの導入には、 多大な初期費用 がかかる点も留意しておきたい。たとえば産業用ロボットを導入する場合、 ロボット本体だけでなく周辺装置などが必要 となり、以下のようなコストシミュレーションができる。

<コスト例>

・ロボット本体400万円
・ロボット周辺・関連装置500万円
・システムインテグレーション関連費500万円

トータルで1,400万円

ロボット本体よりも、関連費の方が多くコストがかかる場合もある。 コスト面に課題がある場合は、後述の「 IoT×ロボットの導入に活用できる補助金 」で紹介する補助金の活用を検討すると良いだろう。

専門知識を持つ人材が必要となる

IoT化したロボットを導入する際は、 ロボットの操作方法を把握して適切に管理できる人材が必要となる。 さらにIoT化したロボットが収集するデータを分析し、メンテナンスを行う人材も必要となるだろう。

企業は専門知識を持つ人材を採用して育成することが求められるが、コストがかかる点が懸念される。

IoT×ロボットの導入に活用できる補助金

IoT化したロボットの導入にはコストが障壁となる。ここでは、2023年9月時点で「 IoT×ロボットに活用できる補助金 」を紹介する。

補助金の種類 概要
東京都中小企業振興公社の補助金 競争力やゼロエミッションの強化、DX推進、イノベーションの推進、後継者によるチャレンジに必要となる機械設備経費の一部を助成
ものづくり補助金 中小企業や小規模事業者による革新的サービスの開発や、生産プロセスの改善のために行う設備投資を支援
介護ロボット導入支援事業補助金 介護従事者の身体的負担を軽減するために、条件を満たす事業者に介護ロボットの導入を支援

それぞれの概要について、詳しく見ていこう。なお、補助金の内容や申請期限は変更される可能性もあるため、最新の情報は後述する各ホームページ上でチェックしてみてほしい。

東京都中小企業振興公社の補助金

公益財団法人である東京都中小企業振興公社では、さまざまな助成金事業を展開している。

その中のひとつに「 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(申請予約・受付締切:2023年11月7日 17:00まで) 」があり、競争力やゼロエミッションの強化、DX推進、イノベーションの推進、後継者によるチャレンジに必要となる機械設備経費の一部を助成している。

助成率や助成限度額などは、2023年9月時点では次のとおり。

事業区分 要件 助成率 助成金の
限度額
助成金の
下限額
ゼロエミ
要件
賃上げ
要件
競争力・
ゼロエミッション強化/
賃上げ促進
中小企業者 - 1/2以内 1億円 100万円
2/3以内

(※2)
3/4以内
3/4以内
小規模企業者
(※1)
- - 2/3以内 3千万円
2/3以内 1億円

(※2)
3/4以内
3/4以内
DX推進 2/3以内 1億円
イノベーション 2/3以内
後継者チャレンジ 2/3以内

(参考:公益財団法人 東京都中小企業振興会社| 第6回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

(※1)常用従業員数が「製造業・その他」の場合は20人以下、「商業・サービス業」の場合は5人以下

(※2)とくに省エネ効果の高い取り組みは、助成率を拡充

東京都中小企業振興公社の補助金に関しては、下記のページをチェックしてほしい。

第6回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業|公益財団法人 東京都中小企業振興会社

ものづくり補助金

「ものづくり補助金(応募締切:2023年11月7日 17:00まで)」は、 中小企業や小規模事業者による革新的サービスの開発や、生産プロセスの改善のために行う設備投資を支援している。

通常枠や雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠などがあり、通常枠の補助金額や補助率は、次のとおりである。

通常枠の概要 ・革新的な製品やサービスの開発
・生産プロセスやサービスの提供方法を改善に必要な設備・システムの投資を支援する枠
補助金額 ・従業員数が5人以下:100万円?750万円
・従業員数が6人?20人:100万円?1,000万円
・従業員数が21人以下:100万円?1,250万円
補助率 規模によって1/2、または2/3

ものづくり補助金に関しては、下記のページをチェックしてほしい。

ものづくり補助金総合サイト|全国中小企業団体中央会

介護ロボット導入支援事業補助金

自治体によっては、「 介護ロボット導入支援事業補助金 」を活用できる。岡山県では、介護従事者の身体的負担を軽減するために、条件を満たす事業者に介護ロボットの導入を支援している。

補助対象となるロボットや補助額、補助率は次のとおり。

補助対象となるロボット ・移乗介助ロボット
・移動支援ロボット
・排泄支援ロボット
・見守り・コミュニケーションロボット
・入浴支援ロボット など
補助額・補助率 ・1機器につき導入経費の4/3、または1/2
・補助限度額30万円
※移乗支援及び入浴支援に限り100万円

岡山県介護ロボット導入支援事業補助金については、下記のページをチェックしてほしい。

令和5年度「職員に優しい、やる気の出る介護現場づくりモデル事業」の提案募集について(介護ロボット導入支援事業及びICT導入支援事業についても掲載しています。)|岡山県庁

まとめ

IoT化したロボットは製造業だけでなく、 飲食店などのサービス業や家庭でも見られるようになった。 IoTの国内市場は拡大を続けているため、今後もIoTを活用した多様なロボットが開発されるだろう。

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