水素社会実現に向け、なぜAIが重要なのか?
水素社会の実現に向けて、AIは必須インフラへと変わりつつある。なぜなら、「生産量の変動」「輸送の複雑さ」「安全性」「需要予測の難しさ」「最適制御」などの課題があるためだ。
Panasonic HXにおけるAI活用とは
パナソニックのPanasonic HXは、「水素(H)」を本格活用し、パートナーとの共創やトランスフォーメーションを意味する「X」を掛け合わせた名称で、水素を活用するエネルギーソリューションの総称として2024年12月3日に発表された。

Panasonic HXを象徴するCGイメージ(出典:パナソニック)
純水素型燃料電池に太陽電池と蓄電池を組み合わせた「3電池連携制御」や、水素発電時の排熱を給湯・暖房などに有効利用するソリューションを束ねるブランドで、工場・オフィス・データセンターなどの大口需要家向けに展開される。
Panasonic HXは、純水素燃料電池・太陽光発電・蓄電池を組み合わせた分散型エネルギー(マルチ電源)システムであり、気象変動・需要変動・電力価格変動など高度に変動する要素をリアルタイムに制御することが求められている。
この複雑な制御を実現するために、Panasonic HXはAIやEMS(エネルギーマネジメントシステム)を中核に据えており、発電・消費の需給バランスの最適化、水素消費・燃料電池出力の最適化、再エネの予測・吸収率向上、カーボン排出削減量の最大化、コスト最適化などでAIが活用されている。
電力需要の変動予測では、工場の稼働量、オフィスの使用状況、曜日/季節要因、太陽光発電量予測では、天候情報、過去データ、設備性能などのデータをもとにAIで分析している。
また、最適制御では3電池連携(燃料電池+太陽光+蓄電池)において、AI制御により意思決定が行われ、太陽光が余っている場合は 蓄電あるいは水素消費削減を行い、需要ピーク時は蓄電池放電、電力価格が高い時間帯は自家発電優先などの最適化を行う。燃料電池は効率が最も高い領域で稼働し、蓄電池が短周期変動を吸収するという統合電源制御モデルを成立させている。
そのほか、AIによる予知保全では温度、圧力、電圧、電流、稼働時間 等のセンサーデータ分析により、劣化兆候検出、異常検知、保守計画の最適化が行われ、計画外停止の防止、燃料電池の寿命延長、保守コスト削減などに役立てている。
水素運用における世界的なAI活用の勢いが増大
Precedence Researchが2025年9月に発表した「AI in Hydrogen Operations Market Driving Innovation and Efficiency in Clean Energy Systems」(水素運用市場におけるAIがクリーンエネルギーシステムの革新と効率を促進)によれば、水素プラントの運用と物流を効率化するために産業界がAIを採用するにつれ、水素運用における世界的なAIの活用が勢いを増しているという。
水素オペレーションにおけるAIは、機械学習、予測分析、デジタルツイン、自動化といった人工知能技術を、産業およびエネルギー分野における水素の生産、貯蔵、輸送、配送、利用に適用可能となる。
水素運用市場におけるAIの重要なトレンドは、水素貯蔵方法の運用における安全性と信頼性の向上にAIモデルを活用することで、AIベースの監視システムは、電解装置、コンプレッサー、ポンプなどの重要な機器の安定性を監視し、潜在的な脅威を発見するために使用できるという。これにより機器が完全に故障してダウンタイムが発生し、関連企業に多大な経済的損失をもたらす前に発見することが期待される。
また、AIモデルは、水素サプライチェーンの複雑な物流に関するデータを分析することができる。これには、計画、スケジュール、予定された場所への適切な輸送という3つのステップが含まれる。AIモデルは地理データを最適化し、経済的な要因を考慮しながら、より少ない障害で可能な限り最適なルートを見つけることができるという。
水素事業市場におけるAIの加速を推進する重要な要素は、再生可能電力からグリーン水素を得るために重要な要素である電解装置の性能最適化である。AIは、温度、電流密度、圧力などの重要なパラメータを含むセンサーからのリアルタイムデータを分析し、電解装置の動きを動的に調整することができる。AIはさらに、太陽光や風力による再生可能エネルギー発電を予測し、電気料金が低い時間帯に水素生産を合理化して、全体的なエネルギーコストを最小限に抑えることが期待できる。
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