最新のテクノロジーを活用して、経済発展と社会課題解決の両立を目指した展示会「CEATEC 2024」が、2024年10月15日〜18日まで幕張メッセで開催されました。
当社グループは「技術と挑戦で『ワクワクするみらい』を共創する」をテーマに、最新のテクノロジーやソリューションを一堂に集結。会場には、「みらいの街づくりDX・GX」「みらいの防災対策 自然エネルギー活用DX・GX」「みらいの働き方DX」という3つのサブテーマごとに展示スペースを設置し、合計25の製品やソリューションを紹介しました。
ここでは、「みらいの街づくりDX・GX」で紹介した10製品をレポートします。
1.DX Wi-Fi®
「DX Wi-Fi®」は、工事現場や工場、大規模な公園、キャンプ場、コンサート会場や各種展示会などの広大な場所において、1台で長距離かつ広範囲なエリアをカバーする高性能なWi-Fiです。通常、Wi-Fiのアクセスポイントは1台当たり50m四方をカバーしますが、「DX Wi-Fi®」は1台で500m級、最大1024ユーザー(2.4GHz帯・5GHz帯合わせて)の通信をカバーできます。
最新モデルは、Wi-Fiの第6世代に対応。従来の4倍のビットを同時に送信できる1024-QAMの採用によって通信速度が向上し、接続ユーザーの最大収容数が2倍に増加しました。さらに、セキュリティ面ではWPA3を搭載しているので、安全性がより強化されています。
最近は、建設現場や工場、オフィス以外にも、公園の公衆Wi-Fiサービスとして設置する自治体も増えてきました。その他にも、花火大会などの大規模イベントでも活用され、岩手県で開催された「三陸花火競技大会」では、「DX Wi-Fi®」のアクセスポイントを複数台設置し、運営スタッフ向けに会場内の連絡用通信手段を提供しました。
CEATEC 2024のような大規模で長期間開催される展示会では、多くの企業が参加し、多くのスタッフが関与します。また、来場されるお客様も非常に多いため、その分通信が輻輳し、繋がりにくくなることがあります。しかし、CEATEC会場では展示会の合間にオンライン会議にも参加できるよう、会場内の随所にワークスペースが設置されていました。働き方が多様化し、ワークスペースには安定した通信環境が求められます。当社の「DX Wi-Fi®」が必要とされる時代のニーズを、CEATEC出展を通じて実感しました。
2.太陽光設備ケーブル盗難防止ソリューション
近年、銅のリサイクル価格が高騰し、太陽光設備をターゲットとしたケーブル盗難が目立ってきました。そこで、当社では物理的な盗難対策とICT技術を融合したソリューションを提供し、太陽光設備のケーブル盗難を防止・抑制しています。
物理的な盗難対策としては、太陽光設備のケーブルラックや設備ボックス部分に、特殊加工されたボルト・ナットを提案しています。このボルト・ナットは緩める際に、力がかかる方向の形状が曲線になっているため、一般的に市販されている工具を使用してポルト・ナットを緩めようとしても、うまく取り外せないようになっています。
また、ICT技術を活用した盗難対策としては、センサーケーブル・ユニットや防犯カメラシステムを提案しており、犯人がケーブルを切断したりケーブル・ユニットの傾きを検知したりした際には、回転灯やスピーカーで威嚇して犯行を抑止します。さらに管理者へのメール通知や、防犯カメラシステムによる遠隔監視、証跡保存も可能です。太陽光発電の施設での盗難事件のニュースが後を絶たない中、CEATEC 2024を訪れた来場者の中には、エネルギー系の企業の方で、ケーブルや設備の盗難に防止策を検討されている人も数多くみられました。本ソリューションは、当社が建設した栃木県の小野寺太陽光発電所や、静岡県の富士宮太陽光発電所などで導入されていますが、導入以降盗難被害ゼロの実績をご説明し、お客様の関心も高まっていました。
3.ロボットDXソリューション
拡大する人材不足の課題に対応するため、当社では積極的に人の仕事を担ってくれる「ロボットDX ソリューション」を提供しています。その1つ「エレベーター連携ロボット」は、ロボットが自律的にビル内のエレベーターと連携しながら移動し、フロアをまたぐ清掃や運搬、配膳業務を行います。
連携するロボットは、「清掃ロボット」「運搬ロボット」「配膳ロボット」の3種類。「清掃ロボット」は硬材から軟材まで幅広い床材に対応し、掃き掃除からバキューム、乾拭き、水拭きまで4つのモードを搭載します。「運搬ロボット」はロック機能付きの自動開閉引き出し式配送ボックスを2つ搭載し、個別の場所に異なる荷物を届けます。「配膳ロボット」は仕切りの高さの変更が可能で、最大4人分の配膳、下膳ができます。
また、従来から国内のビルに設置されているエレベーターの多くは、ロボットとの通信接続ができない型式です。ですが、当社が提供している「通信機能付きエレベーターアダプタ」を従来のエレベーターに後付けすることができ、その結果、エレベーターと連携するロボットを安価かつ短期間に実現できます。
CEATEC 2024の期間中はメディアからの取材にも対応し、多くの来場者からの注目を集めていました。当社ブースの中で、最も活躍してくれたのは、この「ロボット」でした。
4.ZEB・スマートビルソリューション
当社グループには、環境配慮型建築による新築・改修の豊富な施工実績のある西武建設株式会社(当社グループ)をはじめ、暮らしに関わる幅広い分野でそれぞれの専門性の高い技術を持った企業があります。当社が展開する「ZEB(Net Zero Energy Building)・スマートビルディング」構築事業は、グループ会社と連携し、企画から設計、施工、保守までワンストップで対応しています。
主な取り組みとして、企画初期にZEB化の意義やメリットの説明、ZEB化計画の策定、関連する各種申請書類の作成など、企画から調査、コンサル、提案までを積極的に行います。特に、一般的なZEB化に加え、建物の利用者や生活者に快適な生活空間を提供する、スマートビルディングの構築にも取り組んでいるのが特徴です。前述のグループ連携により、企画提案から計画、設計、施工管理に至る各工程について、スケジュール管理を一元化することで工期短縮や費用削減、構築後の運用・保守にも、一体的に取り組みます。
ZEBの実績として、自社オフィスである「横浜金沢総合技術センター」の新築工事を2024年1月31日に竣工しました。塩害地域であるため省エネ機器が限られた中で、空調や照明、換気、給湯システムのシミュレーションによって大幅な省エネルギー化と太陽光発電設備を導入しZEBを達成しました。
スマートビルの建設を検討され、ZEBに関する資料を集めている多くのお客様にご来場いただきました。当社グループのZEBに関する幅広いご提供範囲について直接ご説明することができました。
5.WaitTime
「WaitTime」は、多くの人が訪れる場所の行列や混雑をAIでリアルタイムに解析し、来場者にスマートフォンやデジタルサイネージで混雑状況を分かりやすく表示します。来場者がこの情報を見て行動することで混雑が緩和され、待ち時間が短縮されます。
売店側にとっても、混雑している店を避けて来場者が満遍なくお店を利用できるようになるので、売上機会の最大化に貢献します。また、主催者(運用者)としても、エリア全体の混雑状況をリアルタイムに確認できる管理者向けダッシュボードを活用すれば問題のある箇所が簡単に分かるため、個別の対策を立てることが可能になります。
当社では、楽天モバイルパーク宮城におけるスマートスタジアムの取り組みとして、2022年11月23日に実施された「東北楽天イーグルスファン感謝祭」で「WaitTime」の実証実験を行いました。また2021年より、京都ビッグデータ活用プラットフォームが支援するスマート街区WGにおいて、混雑状況を可視化する実証実験を行っています。京都リサーチパークのフードサロン「GOCONC」では、混雑状況と連動したクーポンをスマートフォンに配信することで、店舗運営者および利用者の利便性向上に取り組んでいます。
イベントや展示会の来場者もコロナ前に戻ってきています。CEATEC 2024の期間中は、当社のブースも非常に混み合いましたが、列をなして入場規制をしているブースもたくさんみられました。今後は、様々なイベント等の機会に「Wait Time」のようなAIツールが活躍する、そんな時代の到来をCEATECを通して垣間見ることができました。
6.屋内外位置情報ソリューション
国際航業株式会社(当社グループ)では、屋内外位置情報ソリューションとして、人やモノの位置を高精度かつリアルタイムに特定し、パソコンやスマートフォン、タブレットでその情報を可視化できる生産性向上ツール「PattPlus」および、高精度リアルタイム位置測位ソリューション「Quuppa Intelligent Locating System™」を提供しています。
「Patt Plus」は、工場や倉庫などで勤務する従業員や仕掛品に専用のタグを取り付けることで、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの地図画面上に最新の位置を表示します。「Quuppa Intelligent Locating System™」は、Bluetooth®無線技術ベースで最高10cmの精度で位置が測位できるシステムです。専用タグだけではなく、スマートフォンや各種BLEセンサーにも対応しているため、工場や倉庫で勤務する従業員の転倒事故や接触事故の検知や、自転車競技「BMX」のパフォーマンス中のジャンプの高さを高精度で測位し分析するなど、幅広く活用できます。
実際に、三菱マテリアル株式会社様において従業員や仕掛品の位置を正確に把握し、工場の省人化を実現した他、株式会社モリタ様では生産状況をビジュアル化して進捗確認にかかる労力を大幅に削減しました。また、株式会社リコー様では社員同士のコミュニケーションを可視化し、誰と誰が議論をしているかをビジュアル的に把握することでオフィスの環境、働き方を改善するなど、多数の導入実績があります。
また、今回のCEATEC 2024期間中には、実際にブース内の担当者にタグを付けて、位置情報を収集することで担当者の動きを「Patt Plus」を用いて可視化することにより、来場された皆様に位置情報の具体的な活用方法をイメージしていただくことができました。
7.3Dプロジェクタによる都市モデルの体験
国際航業株式会社(当社グループ)では、地理空間情報データ基盤整備および建設コンサルティングを通じて培った経験と知見を活かし、スマートシティ実現に向けた都市計画立案や都市活動のシミュレーション、分析等の高度化が期待できるソリューションとして、3D都市モデルの整備に取り組んでいます。現在、東京23区をはじめ、全国各地から依頼を受けて3D都市モデルを構築しています。
3D都市モデルは、国土交通省が採用する「City GML」を含む各種3Dデータフォーマットに対応しています。「City GML」では、都市に存在する建物や橋梁など、構造物の3次元形状に対応しており、内部構造や地下空間など、多種多様な地物をそれぞれ異なる詳細度で再現していく予定です。また、幾何学的な形状だけではなく、建物や道路、植生、都市設備などのオブジェクトに、用途・種別・防災情報などの属性情報を付与することができます。
3D都市モデルの整備では、最新の航空側量センサ(Airborne Scanners)や車両を用いたMMS(Mobile Measurement System)で撮影・作成した高精細な航空写真、レーザー点群データなどの地理空間情報データを元に、用途に合わせて作成しています。CEATEC2024では、実際に東京駅周辺の3D都市モデルでデジタルツインが体験できるよう展示し、多くの来場者が、その技術力の高さを実感していました。
8.Radio On Light®(光無線通信)
「Radio On Light®」は、次世代通信として注目されている光通信ユニットシステムである、Li-Fi(Light Fidelity)バックホールシステムを提供します。Li-Fiは従来のWi-Fiのように電波を使用せず、代わりに光を使用することでデータを中継する無線通信技術です。最大で240Gbpsの速度でデータが転送でき、Wi-Fiと比べて20倍以上の速度での超高速通信が可能になります。
「Radio On Light®」は光送受信モジュールと、通信コントローラーからなる光通信ユニットシステムです。センサーを使用して光を強さとして捉える従来の通信方式ではなく、光子の性質に注目し、高速かつ正確に光子の数を捉え12ビットのダイナミックレンジの電波の波形を光にトレースすることで高速大容量光通信技術となっています。これによって、6G通信で求められている性能をクリアする無線通信が行えます。
通信には、自動車のヘッドライトや照明にも採用されている、人間の目に優しいアイセーフティーなレーザーを使用。日中の太陽光の下や霧、雨の中での通信であっても、外部環境の影響を受けません。また、同レーザーは最大800mまで信号を到達させることができるので、電波による通信が困難なトンネル内や大規模イベント会場などでも、高速で大容量データの送受信が可能です。
CEATEC 2024では、国内のお客様だけでなく外国からのお客様にも非常に興味を持っていただきました。
(2024/11/18)