最新のテクノロジーを活用して、経済発展と社会課題解決の両立を目指した展示会「CEATEC 2024」が、2024年10月15日〜18日まで幕張メッセで開催されました。
当社グループは「技術と挑戦で『ワクワクするみらい』を共創する」をテーマに、最新のテクノロジーやソリューションを一堂に集結。会場には、「みらいの街づくりDX・GX」「みらいの防災対策 自然エネルギー活用DX・GX」「みらいの働き方DX」という3つのサブテーマごとに展示スペースを設置し、合計25の製品やソリューションを紹介しました。
ここでは、「みらいの防災対策 自然エネルギー活用DX・GX」で紹介した10製品をレポートします。
1.太陽光発電所リパワリングソリューション
再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の開始から、すでに十余年が経過しました。この間、日本では山間地を中心に、様々な場所に設置された太陽光パネルを目にするようになりました。ところが、これらの太陽光パネルは経年劣化等によって発電量の低下が始まっており、改修を迫られています。
当社ではこのような太陽光発電所のセカンダリー市場の拡大に対応し、発電所の発電性能診断や周辺環境リスク評価を行うデュー・デリジェンスを実施。取得したデータを活用して古い設備を更新し、最適な設計を行い、出力を増強するリパワリングを提供することで、設計・施工後にその発電所を販売または発電電力を販売する再生可能エネルギー事業を展開しています。
発電所の性能診断では、ドローンを活用したパネル異常診断のほか、土砂災害の可能性やパネル架台の傾き、過去の落雷の発生状況など、環境リスクまで診断します。さらに、その結果を発電所のオーナーに提案するところまでを含めた、トータルソリューションを提供します。
会期中は、多くの再生可能エネルギー事業に携わるお客様に興味を持っていただきご説明させていただきました。
2.3D計測ソリューション「mapry測量」
「mapry測量」はスマートフォンやタブレットで3Dデータを取得し、調査業務や現況測量などを効率化するアプリケーションです。スマートフォンなどから手軽に高精度な点群データを取得できるため、現況調査時において、現場の座標情報や距離・面積・断面を計測することができます。
また、スマートフォンなどの画面上にAR(拡張現実)で杭を投影する機能も搭載されており、基準点の探索や施工範囲・掘削場所の位置も出すことができます。取得したデータはCAD形式(DXF)にも出力できるため、作図への活用も可能となる画期的な測量アプリケーションです。
この「mapry測量」の他に、当社では据え付けが不要で低価格な各種LiDAR機器をご提案しています。
「LA03」は40m程度の中距離に対応したLiDAR機器で、小型で軽量なため肩に掛けながらハンズフリーでデータを取得することができます。また、「LA01」は、長距離に対応したLiDAR機器で、200m程のレーザー照射機能を持つため、踏み入ることが困難な場所での現況把握に活用できます。このように、当社の3D測量ソリューションは、近距離から中距離、長距離といったさまざまなシーンでのデータ取得を可能にします。
CEATEC 2024には、AR技術に関する製品やソリューションなどの出展物が多かったのですが、当社の「mapry測量」のような測量の領域での製品はあまり見られませんでした。そのため、ブース内では、説明を熱心に聞いていただくことができ、優位性を訴求することができました。
3.自動離発着DroneDockが作る未来
株式会社ミラテクドローン(当社グループ)は、専用のドローン(DJI Matrice 3D/3TD)を格納・管理し、現地での自動離発着および機体の充電が行えるドローンドック「DJI Dock2」を提供しています。「DJI Dock2」はドローン運航管理クラウド「DJI FlightHub 2」と組み合わせることで、自動飛行や遠隔操作、飛行画面のライブ共有、撮影データの管理・共有が可能になります。
「DJI Dock2」はIP55(防水規格)レベルの防塵・防水性能を備えており、過酷な気候や環境下でも長期間安定した運用が可能です。また2人での持ち運びが可能な重量(34kg)であるため、現地に持っていって簡単に設置することができ、急速充電によって30分以内に使用が可能。CEATEC 2024の会場では、ドローンが格納された状態で、遠隔からドックを開閉するデモを行いました。
工場地域などでは現地のドローンポートで自動充電し、無人で定期的に離着陸させて地域内の巡回・点検が可能です。自動離発着は24時間対応しており、防犯効果が期待できる他、災害時には避難情報を発報し、従業員の安全を守ります。ミラテクドローンでは、「DJI Dock2」の活用提案から、販売や設置工事、点検・保守運用までをワンストップで対応し、購入されるお客様の負担軽減に努めます。
CEATEC 2024では、ドローンに関心のある来場者が多くみられ、ミラテクドローンが保有しているドローンや関連製品・サービス、国家資格等への興味も高いことが分かりました。ビジネスマンのみならず、訪れた若年層(学生・生徒)にも、当社グループの取り組みをお伝えするよい機会となりました。
4.オフグリッド電源ポール
街灯や監視カメラ、各種センサーなどが搭載できる「オフグリッド電源ポール」は、ソーラーシートとバッテリーで作動するため電源が不要で、設置するスペースが最小限に抑えられます。特に地方の山道などの無電化地域を明るく照らしたり、雨量計などを取り付けたりするなど災害対策にも役立ちます。CEATEC 2024では、実際のオフグリッド電源ポールを展示し、その周りを囲むように多くの来場者が集まっていました。
「オフグリッド電源ポール」は100%再生可能エネルギーで稼働し、平面型のソーラーパネルとは異なる円筒型構造のソーラーシートを巻き付けているため、朝日が昇って夕日が沈むまで発電を続け、夜間に電力を利用できます。最近は都心でも多数の照明が必要な大型駐車場などで、設置コスト削減のために導入される例が目立ってきました。
LED照明を設置して無電化地域のストリートライトとして活用する他にも、カメラやセンサーも設置可能。例えば、カメラやミリ波水位計を搭載した「オフグリッド電源ポール」を河川に設置すれば、日常的に水位をモニタリングすることや、大雨による水位の増加もリアルタイムで知ることができますので、災害が発生する前に避難警告を出すなど街や社会の安心安全に貢献します。
CEATEC 2024では、来場者に実機を見ながら説明することで、特徴や有効性を理解していただくことができました。
5.IoT プラットフォーム「IPLIS」
「IPLIS」は、株式会社アクティス(当社グループ)が提供する、簡単にシステムを構築できるIoTプラットフォームです。さまざまな機器やセンサーを用いることで、事業者ごとに異なる設備環境に柔軟に対応することができます。事業者にライセンスを提供する「クラウド型」とソフトウェアを提供する「オンプレミス型」の2つの形態を展開しているため、小規模な利用から大規模利用まで、各事業者のビジネス規模や導入予算にあわせた柔軟な提供が可能です。
また、「IPLIS」はLoRaシステムを利用しているため、電波の届きにくい場所でも導入することが可能で、フロアをまたいだエリアもサポートされます。例えば、工場に設置されている機械や装置などからデータを収集することで、稼働状況を簡単に可視化・分析することができ、工場運用に係る課題を明確化できます。他にも、LPWAネットワークエリア内にある電気やガス、水道等のメーターの使用量を自動収集・可視化することにより、データ収集に係る業務の効率化も可能です。
すでに近畿日本鉄道株式会社様において、沿線設備等の状況監視にLPWAを搭載したセンサーを設置し、データを収集・蓄積・見える化することで、遠隔からの監視を行うシステムを構築するプラットフォームとして採用されています。
CEATEC 2024では、最先端の通信やネットワーク技術に関する展示が多くみられましたが、「IPLIS」についても、ブース内で多くの来場者に特徴や優位性を説明することができました。
6.Bois/防災情報提供サービス
国際航業株式会社(当社グループ)が提供する「Bois/防災情報提供サービス」は、全国に点在する店舗や工場を持つ企業などに対して、地震や台風などの自然災害発生時に、事業継続に必要な自社の拠点やサプライチェーンの被災情報をリアルタイムで自動収集し、災害対応の判断を支援するサービスです。
自然災害発生時に、全国に散らばっている拠点やサプライチェーンの情報を取りまとめるのには、非常に時間がかかります。「Bois/防災情報提供サービス」では、これらの情報を1つの地図画面上に重ねて表示し、災害発生時の被災状況を見える化します。さらに、被災エリアに存在する拠点をリスト化して、本部へ通知します。その後、各拠点の担当者に被災状況確認のアンケートを配信することで、実際の被災状況も収集します。
「Bois/防災情報提供サービス」の導入実績として、住商ビルマネージメント株式会社様では市街地から離れた場所にある、同社が運営する物流施設の災害リスク管理の課題を解決しました。また、グローブシップ株式会社様では、不動産管理物件の被災状況の確認や、点検対象の特定を自動化するなどの効率化を実現しています。その他にも、多くの製造業や小売・飲食業などにも採用されています。
特に、自然災害対策を検討する様々な業種の来場者の注目を集めていました。
7.再エネ+コンテナDCソリューション
データセンター関連の製品やサービス、ソリューションの展示が目立ったCEATEC 2024。当社のコンテナ型DCも、省エネに効果を発揮する点で、多くの来場者に興味・関心を引き起こすことができたソリューションです。
今後、日本でもAIの活用が本格化すると、データセンターの需要がますます増加すると言われています。そんな需要に応えるのが、当社が提供するコンテナ型のDC(データセンター)です。コンテナ型データセンターは、最新のAIサーバーの搭載が可能な高排熱処理空調設備を採用しており、建築物としての届け出が不要ため、導入までにかかる期間も短縮できます。
一方で、再生可能エネルギー事業者の中には、出力抑制のために発電した電力を100%活用できないといった課題を抱えているケースがあります。そういった場所にコンテナ型データセンターを設置することで、発電した電力を有効活用できるようになります。
また、広大な敷地を有する物流倉庫などの施設にコンテナ型データセンターを設置し、倉庫の屋根等に設置した太陽光パネルで発電した電力でデータセンターを運用することもできます。このように、再生可能エネルギーの活用に関わる様々な課題も解決し、カーボンニュートラルに貢献します。
(2024/11/18)