最新のテクノロジーを活用して、経済発展と社会課題解決の両立を目指した展示会「CEATEC 2024」が、2024年10月15日〜18日まで幕張メッセで開催されました。
当社グループは「技術と挑戦で『ワクワクするみらい』を共創する」をテーマに、最新のテクノロジーやソリューションを一堂に集結。会場には、「みらいの街づくりDX・GX」「みらいの防災対策 自然エネルギー活用DX・GX」「みらいの働き方DX」という3つのサブテーマごとに展示スペースを設置し、合計25の製品やソリューションを紹介しました。
ここでは、「みらいの働き方DX」で紹介した10製品をレポートします。
1.イベントDX:設営計画サービス
これまで、大規模なイベントにおける会場設営や安全対策などは、平面図を見ながら検討していました。「イベントDX:設営計画サービス」は、デジタルツイン技術によって大会会場をデジタル空間上に正確な立体図面(3D)として再現しながら、会場設営や安全対策を講じることができるサービスです。画面上で様々なシミュレーションを行うことができるため、設営の準備にかかるコストを削減することが可能です。
会場では、実際に「イベントDX:設営計画サービス」が導入された岩手県陸前高田市や福島県相馬市、福島県新地町、滋賀県大津市、東京都北区などにおける花火大会でのシミュレーションの様子が画面上で確認することができました。人の視線であらゆる角度から会場を確認できるため、まさに現地にいるかのような感覚になります。
また、人の動線や地形の段差などを考慮したテントや観客席などの什器の配置も事前にシミュレーションできるので、大会当日には使わない什器を発注するような無駄もなくなるなど、非常に効率的な運用ができます。
今後、人材不足が必至となるなかで、大規模なイベントを実施し、成功させるには、やはりITによるサポートは不可欠です。 「イベントDX:設営計画サービス」を活用し、様々なイベントを実施・継続させることに貢献したいと考えます。
2.「店舗・工場DX」電子棚札ソリューション
大手家電量販店などでは、タイムセールやキャンペーンなどによって一日に何回か商品の値札表示を変更する必要があります。とはいえ、そういった作業を人が行うことは非効率的です。「電子棚札」は、電子ペーパーを使って商品価格などを表示させることで、従業員がお客様の接客に充てる時間を増やすことができるソリューションです。
表示に使われる電子ペーパーは、ボタン電池だけで、5年以上電池交換をすることなく運用できます。また、用途としては価格表示だけではなく、飲食店ならば日替わりメニューやアレルゲンの表示、工場や倉庫においては在庫管理や部品のステータス表示など、頻繁に書き換えが必要な様々な分野に対応することができます。現場で人手が足りない中、従業員の負担や経費削減のために最適のソリューションです。
また、QRコードも表示することが可能で、昨今話題になっている無人店舗やスマートストアでのキャッシュレス決済にも対応することができます。まさに、未来社会に溶け込んでいくソリューションと言えます。
CEATEC 2024に来場した人の中には、小売・流通関係者もみられ、最新の売場をつくるためのソリューションとして、家電量販店から、食堂・レストランまで、幅広く有効活用できる「電子棚札」への期待も多く寄せられました。
3.既存ゴルフ場芝刈機ロボット化システムHerbF®【開発中】
「HerbF®」は、もともと使われているゴルフ場芝刈機に、自動運転機能を後付けしてロボット化するシステムです。当社グループの西武建設株式会社が、芝浦工業大学の長谷川研究室と共同で開発しました。5G通信技術を活用している点は、当社グループならではのシステムです。
元になる芝刈機は、「レトロフィット方式」によって様々なメーカーや年式に対応しています。芝刈作業の自動化に関しては、「ティーチングプレイバック方式」を採用することで実際のベテランキーパー(オペレータ)の動作を再現します。
キーパーの人材不足を補うだけではなく、これまでできなかった夜間の芝刈作業もできるようになるため芝生の刈り込み頻度が上がり、ゴルフ場を利用するプレイヤーの満足度の向上にもおおいに貢献しています。また、将来は芝刈機だけではなく、建設用重機のロボット化など様々な産業用機械への転換も予定しており、まさに日本が抱えている人手不足の社会課題解決に期待できるシステムです。
人手不足を補うソリューションに対して多くのご質問をいただき、お客様のご期待を実感しました。
4.みらいコネクト
「みらいコネクト」は肩掛け型のウェアラブルデバイスを利用し、作業現場と遠隔地との間で現場の映像と双方向の音声会話をリアルタイムで共有・録画できるサービスです。こうしたシステムでは、よくメガネ型のウェラブルデバイスを見かけることがありますが、装着に違和感があったり、顔を動かすたびに映像も一緒に動いたりするので、見ている人が画面酔いすることもあります。でも、その点、「みらいコネクト」なら肩から掛ける形状なので、作業をしている時に首を動かしても体の正面が映り、安定した画角で映像を配信することができるのです。
お客様の用途に合わせ、「みらいコネクト」が接続できるさまざまな通信方式を提供しています。例えば、遠隔地からの工事現場視察や施設点検、災害時の現地状況把握などのシーンで活用する場合は「インターネットクラウド版」が、また、使用場所を限定せずどこからでもセキュアな通信で利用したい場合は、専用 SIM カードを利用した「セキュアクラウド版」を選ぶことができます。
さらに、高度なセキュリティが必要な場合や、インターネット環境が構築できない場所での利用には「オンプレミス版」が用意されるなど、利用環境やセキュリティのレベルに合わせて選ぶことができるので安心して導入することができます。
CEATEC 2024に来場した人の中には、建設現場や工事現場に限らず、様々な現場での遠隔操作が可能なソリューションを探している人も見られ、「みらいコネクト」の汎用性の広さを感じることができました。より多くの業界に提案し、人手不足の解消に貢献したいと考えます。
5.コンレポシリーズ/コンレポ for Education
「コンレポシリーズ」は、従業員の勤務形態や健康状態を素早く入力・集計・管理する、まさにコンディションのレポートシステムです。こうしたシステムが必要とされるようになった背景として、コロナ禍によって一般的となったリモートワークの普及があります。企業は自宅など社外から離れた場所にいる従業員に関しても、健康を守る必要があるからです。
「コンレポシリーズ」はWebサービスなので、アプリケーションのインストールにかかる手間や設定作業が不要で、申し込みから最短3日で利用を開始できます。パソコンやスマートフォンで登録した従業員の体温・体調をリアルタイムで集計しレポート出力ができるため、健康管理業務の効率化や報告業務の迅速化に寄与しながら管理職の負担も減らすことができます。
こうしたノウハウを、教育現場向けに活用するのが「コンレポ for Education」です。生徒の健康状態を教職員が把握することで、本格的な心身不調に陥る前に気づきを与えて、声掛けのきっかけを作ります。既に2023年3月から東京都教育委員会に導入され、現在までに13万5,000人の生徒、1万人の教職員が利用していることからも、まさに信頼のおけるシステムです。
また、教育現場向けに活用するということで、来場された多くの学生さんにも立ち寄っていただきました。
6.現場へGO!
建設業界では、工事工程の進捗や写真による現場の把握など、様々な情報を建設現場で扱うことが求められています。一方で、建設業界では特に人手不足が加速しており、多数の現場を少ない人数の従業員で管理しなければならないという課題があります。「現場へGO!」は、工程管理や予算管理等の情報を一元管理し、情報を効率的に共有できるシステムです。
「現場へGO!」は、様々な企業でERPとして導入されている「Salesforce」のプラットフォームから構築されたシステムです。本来「Salesforce」は高額なシステムなので大企業でなければ導入できないと思われています。ところが、「現場へGO!」は、中小企業の建設会社でも導入できるよう、サブスクの月額課金で利用を可能としました。クラウド上の工程表を社内で共有したりすることや、原価管理や受注管理、帳票印刷など、建設現場で必要な機能も全て揃っています。
既に、都内の不動産仲介事業を行う企業から、地域密着型の塗装工事会社まで、規模の異なる幅広い企業に導入されており、建設に関わる様々な企業が安心して導入できるシステムです。
来場者の中には、中小企業のDXに関心の高い層もみられ、ERP等の基幹システムに興味を示している人も非常に多かったです。今後も建設会社への「現場へGO!」の提案・導入を加速していきます。
7.UPWARD
従来、訪問営業といえば、顧客を訪問する順番を設定したり、優良顧客とそうでない顧客を振り分けたりといった手順を各個人で考えていました。また、会社の共有データはセキュリティ面から外に持ち出せず、通信経由で出先でデータを開くには大容量であるがゆえに時間を要してしまうなどの悩みに加え、帰社後には報告書作成業務に追われるなど、多数の課題を抱えていました。
そんな課題を解決するために生まれたのが、CRM(顧客管理)と呼ばれる「UPWARD」です。マップアプリケーションとして、顧客情報や訪問スケジュールを地図や位置情報に自動連携させ、外回りや訪問活動を行う営業担当者に最短の訪問計画を提案してくれます。
「UPWARD」では「Salesforce」のクラウド上に顧客データが記録されるため、高いセキュリティ環境でデータが保護され、外出先でも安心して顧客情報を扱うことができます。また、アプリケーションの地図上に顧客情報が優先度で色分けされて表示されるので、自分がいる位置からどこに営業へ行くべきかを直感的に判別できるなど、営業業務を"見える化"してくれるツールです。
「UPWARD」のようなCRMの活用で、より効果的な営業活動が展開できるという貴重なご意見をいただき、適用範囲の広がりを感じています。
8.次世代型電子ペーパーサイネージ「Infinity Display」
これまでの電子ペーパーは、電力消費は少ないものの、再現できる色数が限られていたり書き換えに時間がかかったり、大画面化が難しいなどといった課題があり、利用シーンが限られていました。「Infinity Display」は電子ペーパーのこれまでとは違った採用により、こうした課題を解決した次世代の電子ペーパーサイネージを実現しています。
「Infinity Display」が採用している、コレステリック液晶技術(ChLCD)と呼ばれる新技術は1600万色以上が表現でき、最大100インチまで大型化できます。実際に会場のデモ画面では、通常の液晶ディスプレイのようにくっきりした画像が表示されました。
また、液晶基板に重ねて太陽光パネルを置くことができるため、「Infinity Display」自体が周囲の光を活用して発電した電力を蓄電・給電しながら動作することで、コンセントレスが可能になります。これにより、電力供給の関係からこれまで設置が困難であった場所へ導入することも可能になります。更に、設置工事にかかるコストも削減できるなど、まさに次世代型のデジタルサイネージです。
ペーパレス化が加速する中で、CEATEC 2024も、以前の展示会のような紙(資料類)も配布数は減少しているように思います。来場者の中には、「Infinity Display」のような省エネに貢献できる製品に興味を示す人も多くみられました。
9.水素エネルギー(燃料電池)の設置と運用についての取組み紹介
2023年9月から福島県(南相馬市)において、当社グループは、定置式燃料電池発電機を設置し運用しています。使用されている燃料電池は出力が50kWで、トヨタ自動車の燃料電池自動車のスタック部分を使った燃料電池なので、短時間での起動が可能といった特徴があります。
現在、株式会社TTK(当社グループ)の事業所に設置しており、そこでは他にも太陽光発電設備と蓄電池を設置し、それらを併用した効率的な運用を目指しています。また、災害時だけではなく、季節ごとの冷暖房需要で電力使用がピークになった際には、定置式燃料電池発電機による発電と、水素燃料電池制御管理システムの制御によって電力のピークカットに対応するなど、水素の通常活用も行っています。
2024年3月にはEV(電気自動車)充電設備を設置し、定置式燃料電池発電機で発電した電力でEVに充電しています。今後は本運用でのノウハウを活かし、福島県内におけるオフィスや店舗での水素を活用した脱炭素社会の実現に貢献していきます。CEATEC 2024の来場者の中には、水素エネルギー(燃料電池)に関心の高い人も多くみられました。特に、福島県内の取り組みについては、太陽光+蓄電池に加え、水素といった複数のエネルギーを併用していることに関心・評価が高かったのが印象に残りました。
10.ZEB建築と運用の取組み紹介
昨今ではさまざまな場所で、カーボンニュートラルに貢献する建築物が見られるようになってきました。その1つである「ZEB(Net Zero Energy Building)」は、快適な室内環境を保ちながら高断熱化や日射遮蔽、自然エネルギー利用、高効率設備によって省エネルギーに貢献する取組みです。
株式会社TTK(当社グループ)では、子会社の塚田電気工事株式会社がZEBオフィスビルを建築する際、設計から運用段階までのエネルギーマネジメントに関わっています。2023年5月には、高断熱や地中熱利用による空調、LED照明などを備えた先導的ZEBオフィスビルとして同社の新社屋が竣工。現在、EMS(エネルギー・マネジメント・システム)の効果的な運用を実施しています。
株式会社TTKが実際に自社のZEBオフィスを運用しており、建築や運用ノウハウを活かして、今後検討する企業に対し、設計・建築から保守運用まで総合的なサポートを行っていく予定です。また、株式会社TTKが運用中の新社屋への見学も行っていますので、是非、お問い合わせください。
(2024/11/18)