北区花火会実行委員会様は「北区花火会」を主宰されています。
導入前の課題 | 観客席拡大に伴い、設営作業を効率化したい。 |
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導入後の効果 | 3Dシミュレーションと墨出し作業によって、設営作業を効率化することに成功されました。 |
当社を選定して頂いた理由 | ミライト・ワンの「イベントDX:設営計画サービス」は、イベントに特化したシミュレーションサービスであり、他の花火大会での導入実績もある為。 |
北区花火会とは
北区花火会が開催される東京都北区の荒川河川敷には、旧岩淵水門と岩淵水門の二つの水門が並んでいます。旧岩淵水門は「赤水門」、岩淵水門は「青水門」の愛称で地域の皆様に親しまれています。
「赤水門」は大正13年に完成し、その役目を約300m下流にある「青水門」に引き継いだ後も、貴重な土木遺構として保存され、重要文化財に指定されています。
歴史のある「赤水門」と地域を洪水から守る「青水門」の間で花火を打ち上げる「北区花火会」は、補助金に頼らず民間主体で開催されています。北区の歴史と文化を花火を通して伝え、地域の発展に貢献するこのイベントは開催を重ねるごとに人気が上昇し、年々観客数が増加しています。
北区花火会2024 「青水門」から望む花火の模様
お客様の課題
観客が毎年増える中、一目花火を見ようと対岸の埼玉県川口市側の河川敷に人が押し寄せております。
花火大会の開催において最も重要な課題は観客の安全確保です。2024年度から、川口市側にも観客席を設置し安全対策を講じることになりました。これに伴い、什器レンタル費、設営作業費、警備費等のさまざまな設営コストの増大が課題でした。
3Dデータのさまざまな活用で設営コストを削減
デジタル3D空間で設営計画シミュレーションと図面作成
「イベントDX:設営計画サービス」を導入していただくことで、観客席拡大に伴う設営費用の増大を抑えることが可能になりました。まず、北区赤羽側と川口市側の両地形を高精度な点群データを用いてデジタル3D空間に再現しました。
この現実の地形に基づいた精密なデジタル空間をもとに、設営シミュレーションを実施。例えば、テントや座席、キッチンカーの配置についても、仮想空間上でシミュレーションを行い、最適なレイアウトを検討することができました。
さらに、これらの3Dシミュレーションから直接図面を作成することで、現場調査や図面作成にかかる時間とコストを削減でき、設営プロセス全体の効率化につながりました。
このように、デジタル3D空間を駆使することで、より正確で無駄のない設営計画が可能となり、お客様のプロジェクトの円滑な進行に貢献しました。
関係各所の説明は、設営イメージを3Dで共有
デジタル3D空間を活用することで、警察への警備計画の説明や設営業者との打ち合わせが格段に効率化されています。視覚的にわかりやすく再現された3Dイメージは、2Dの図面よりも直観的に場の全体像を把握することができ、関係者への意図や計画をより効果的に伝えるツールとして活用されました。結果的に、従来の方法に比べて迅速かつ的確に関係者との調整を行うことが可能になりました。
また、この3Dデータは単なるコミュニケーションツールに留まらず、記録としても保存することができるため、次世代の運営担当者にとっては重要な設営ノウハウとして継承することが可能です。これにより、イベントの継続的な開催の寄与につながり、お客様に大変ご評価いただきました。
3Dによる設営シミュレーション
3Dで花火会場を表現
配置をシミュレーションした座席
実際の座席配置の様子
設営の品質を左右する重要工程「墨出し」とは?
墨出しとは、建設現場などで行われる作業の一つで、設計図や図面に基づいて、実際の建物や構造物を建てる際の基準となる線やポイントを地面や壁などに描く作業です。これにより、正確に建物を配置することができます。
墨出しは、広大なイベント会場での設営作業においても、什器やテントなどの配置を決める重要な工程です。墨出しが不正確だと、椅子やテントの配置がずれてしまい、予定通りのレイアウトが崩れたり、通路が確保できないといった問題が生じます。
新技術で実現。正確かつ効率的な「墨出し」
通常の墨出し作業では、最初にトータルステーションやレーザー機器を使用して正確な基準点を設定します。この基準点をもとに他のポイントを順に墨出ししていきます。
今回のプロジェクトでは、会場を3Dで再現する点群データの座標情報から「墨出し」する手法を導入しました。この技術により、任意のポイントに直接「墨出し」することができます。「墨出し」によって、例えば、会場内で複数のチームが異なる場所で同時に作業を進めることができるようになり、限られた時間内にスムーズに設営を完了できるなど、設営作業が格段に効率化されます。