フィジカルAIの実用化に向け試作ロボットが登場

2026年1月13日

ロボティクス市場は、人手不足の影響もあり、今後、需要が拡大していくことが期待されている。そういった中、ロボットのセンサーやカメラ、外部のシステムから得た情報をAIが解析・判断し、その結果に基づいてロボットが動きを行えるようにする技術である「フィジカルAI(Physical AI)」が注目されている。そこで、この市場の最近のトピックを紹介する。

富士通が人とロボットの相互作用を予測できる技術を開発

12月2日、富士通はフィジカル AIの研究を発展させるべく、コンピュータビジョン技術をベースに、人とロボットの相互作用を予測できる「空間World Model技術」を開発したと発表した。これにより、人・ロボット・物体の未来の状態を予測して、従来では困難であった人とロボットの協調動作、複数ロボット間の協調動作を実現する。

同社によれば、「空間World Model技術」は、人・ロボット・モノの相互作用に着目した3Dシーングラフで空間World Modelを構築している点と、空間World Modelで人・ロボット・モノの相互作用をモデリングし、起こり得る行動を推定して未来の状態を予測している点が特徴だという。

カメラ映像からの空間把握と空間内の人・ロボット・モノの未来の状態を予測する空間World Model(出典:富士通) イメージ
カメラ映像からの空間把握と空間内の人・ロボット・モノの未来の状態を予測する空間World Model(出典:富士通)

富士通は、見た目の差異の影響を受けやすい画素単位での統合ではなく、人やロボットといった物体をベースに空間カメラとロボットカメラを統合して、視野、歪みなどの影響をおさえつつ、空間全体を把握できる技術を開発した。これにより、複雑に変化する実空間をリアルタイムに把握することができるという。

未来の状態を予測では、空間における人、ロボット、モノの3Dシーングラフの時系列データを活用して、空間全体のWorld Modelを学習する方式を開発した。人、ロボット、モノ間の多様な相互作用性から、複数の行動主体が起こす次の行動を推定することで、対象の空間における未来の状態を予測する。空間内を時系列に予測することで、自律ロボット間の衝突回避や複数ロボット間での最適な協調動作プランの生成などを実現できるという。

川田テクノロジーズ、ヒューマノイドロボットの運用試験開始

川田テクノロジーズは11月28日、工場や工事現場で「人と一緒に働く全身型ヒューマノイドロボット」の、フィールドテストの場として自社グループの施設で運用試験を開始した。

機材センター(川田建設)での運用試験の様子(出典:川田テクノロジーズ) イメージ
機材センター(川田建設)での運用試験の様子(出典:川田テクノロジーズ)

ヒューマノイドロボットは、北海道大学、大阪大学、豊橋技術科学大学、香川大学、福井大学の各研究室との共同研究で、AIを用いた新しいアプローチと、これまでのモデルベースの考え方を組み合わせることで、実用的なヒューマノイドロボットに必要な技術課題の解決を目指している。

過去に開発したヒューマノイドロボット「HRP-2」の内部システムを刷新し、川田建設の機材センターにて運用試験を開始。センサー、カメラ、バッテリー、通信システムの入れ替え、GPU導入、OS・ソフトウェアの更新により、最新のAI×ロボット研究成果を導入・評価する環境を構築している。

機材センターにおいて、橋梁架設のための再利用部品の分類、整理、搬送といった、専用機での自動化には見合わない量のタスクをこなせる汎用ロボットを目指し、必要となる技術提携や共同研究、積極的な人材採用を行いつつ、課題を一つ一つ解決するという。

同社は今後、検証の場を屋内工場から半屋外の工場、さらには工事現場へと広げ、実環境での課題抽出・改善・検証を繰り返すことで、汎用性と信頼性を高めていく。

安川電機とソフトバンク、フィジカルAIロボットのユースケース開発

ソフトバンクと安川電機は12月1日、ソフトバンクが推進するAI-RANと、安川電機のAIロボティクスを活用した「フィジカルAI」の社会実装に向けた協業に合意し、覚書を締結したと発表した。

両社は協業の第1弾として、次世代のビル管理システムと連携し、MEC(Multi-access Edge Computing)で動作するAIを活用した、オフィス向けのフィジカルAIロボットのユースケースを共同開発した。

従来のロボットは、特定の作業に特化して設計されており、複数のタスクを同時に行うことは困難だったが、MEC上で動作するAIがリアルタイムにさまざまな情報を統合・解析することで、状況を的確に判断してロボットに最適な指示を出すことが可能になったという。これにより、1台で複数の役割をこなす「多能工化」を実現している。

今回の協業では、安川電機のAIロボティクスによって高い作業力と精緻な制御を実現したロボットに、ソフトバンクのAI-RANを組み合わせることで、ロボットのセンサーやカメラ情報、ビル管理システムなどの外部のシステムの情報を統合・解析し、リアルタイムに最適な指示を行う仕組みを構築する。両社がそれぞれの領域で培ってきた先進技術を掛け合わせることで、フィジカルAI領域における新たな自動化ソリューションの創出と社会実装を目指す。

両社は、協業の第1弾として、オフィス向けのフィジカルAIロボットのユースケースを共同で開発。このユースケースでは、これまでの自動化・デジタル化の枠を超え、安川電機の高い作業力を持つロボットと、ソフトバンクのAI-RANによるMECおよびそこで動作するAI、そして次世代のビル管理システムが連携。これにより、ロボットがオフィスの棚から特定のスマートフォンを認識して取り出すといった、ビル内の状況を踏まえた高度な判断に基づく動作や、想定外の事象への柔軟な対応が可能になるという。

オフィス向けのフィジカルAIロボットのユースケース(出典:ソフトバンク) イメージ
オフィス向けのフィジカルAIロボットのユースケース(出典:ソフトバンク)

JR東海とスズキなど、リニア新幹線向け設備検査ロボットの試作機を開発

JR東海とスズキ、パナソニック アドバンストテクノロジーは11月26日、超電導リニアの運行を支える各種機械設備の点検・保全業務の効率化に向けて、外観検査を自動で実施する設備検査ロボットの試作機を開発したと発表した。今後、山梨リニア実験線にて検証を行い、実用化を目指していく。

多目的電動台車「MITRA」(出典:パナソニック アドバンストテクノロジー) イメージ
多目的電動台車「MITRA」(出典:パナソニック アドバンストテクノロジー)

スズキが開発中の多目的電動台車「MITRA」を鉄道業界で初めて採用し、段差のある場所や砂利敷きの箇所のような不整地走行に対応。また、ロボットアーム等各種部品を搭載。

パナソニック アドバンストテクノロジーが提供する自律移動ロボットの各種機能を実現するソフトウェアパッケージ「@mobi」を鉄道業界で初めて採用し、自律移動が可能。さらに、ロボットアーム制御機能及び自動充電機能を搭載することにより、外観検査を自動化する。

ソフトウェアパッケージ「@mobi」(出典:パナソニック アドバンストテクノロジー) イメージ
ソフトウェアパッケージ「@mobi」(出典:パナソニック アドバンストテクノロジー)

2026年2月より、3社で山梨リニア実験線において機能性の確認など、現地検証を実施し、今後の設備の点検・保全業務の効率化に繋げていく。

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