社会インフラの予防保全と省人化を加速する最新の事例

2026年3月23日

近年、老朽化や気候変動の影響、人手不足の深刻化を背景に、社会インフラの維持管理は大きな転換期を迎えている。そこでここでは、水道管の凍結リスクを人工衛星データで可視化する新サービス、下水道管路点検のDXによる安全性・省人化の実証、そしてAIによる車両入退場管理の高度化という最新の3つの取り組みを紹介する。

水道管の凍結リスクを250mメッシュで可視化

今年は、熱海市や箱根町で水道管凍結による断水が大きな話題になった。そんな中、宇宙ベンチャーの天地人は1月30日、人工衛星から取得した地表面温度データを活用し、水道管の凍結リスクを250mメッシュで可視化する「水道管凍結注意マップ」を自治体等に提供開始したと発表した。

「水道管凍結注意マップ」(出典:天地人) イメージ
「水道管凍結注意マップ」(出典:天地人)

「水道管凍結注意マップ」は、水道管が凍結しやすいとされる「マイナス4℃」を下回る日数を指標として、凍結リスクを3段階で表示する。

このサービスを利用することで、自治体等の水道事業体は住民に対して、地域ごとの凍結リスクを分かりやすく伝えることができるとともに、住民一人ひとりに事前対策を促すことで、凍結による漏水事故の防止に繋げられるという。

同じ地域内でも、川や線路の有無、地形の違いなどによって凍結リスクは異なるため、250mメッシュの細かさで表示することで、「自分が住んでいる場所のリスク」として示すことができるため、住民一人ひとりの気づきや行動を促すことにつながるという。

なお、「水道管凍結注意マップ」は専用アプリが不要で、スマートフォンやPC、タブレットからURLにアクセスするだけで、住民は自宅周辺の凍結リスクを地図上で直感的に確認することができるという。

ドローンとAI解析で水道管路のDXを実現

NTT東日本 埼玉事業部は、2月5日、下水道管に関して、埼玉県行田市と老朽化が進む下水道インフラの維持管理における安全性の確保と、省人力化・無人化を実現するための「下水道管路のDXに関する連携協定」を締結した。協定の期間は、2026年2月5日~2027年3月31日。

この協定は、2025年8月2日に行田市の下水道点検中に発生した事故を受け、安全性向上と再発防止に取り組むためのものである。危険作業が多い下水道管路の点検作業においてDXを活用することで、作業員が管路内に入って行う目視作業を必要としない点検を実現し、現場作業のより高い安全性の確保、人手不足への対応、予防保全型の維持管理体制の構築を目指す。

ドローン点検・AI画像解析・点検データ管理サービスを組み合わせた一気通貫の点検・診断・管理を行うことで、従来の人手依存型点検からデジタル技術を活用した、効率的かつ安全な維持管理への転換を図るという。

一気通貫の点検・診断・管理イメージ(出典:NTT東日本) イメージ
一気通貫の点検・診断・管理イメージ(出典:NTT東日本)
行田市内でのドローンを活用した下水道管路内点検の様子(出典:NTT東日本) イメージ
行田市内でのドローンを活用した下水道管路内点検の様子(出典:NTT東日本)

今回の協定では、ドローンによる点検データのAI解析や、GIS連携管理台帳でのデータ一元管理と点検票の自動作成などの技術を組み合わせた、一気通貫の点検・診断・管理に関する実証を行う。

行田市は、従来の手法との比較検証により実用性を評価し、従来の人手依存型点検からデジタル技術を活用した効率的かつ安全な維持管理への転換を検討する。

具体的には、行田市内の下水道管路にて産業用ドローン「ELIOS 3」で撮影・取得した管路内撮影データを、NTT e-Drone Technologyが提供する「eドローンAI」を活用して分析し、ひび割れ・腐食を診断する。また、NTTインフラネットが提供する「下水道スマートメンテナンスツール」により、点検データ一元管理・可視化・点検票の自動作成を行うという。

さらに、地理情報システム(GIS)を活用し、施設や資産の位置情報と属性情報を地図と連動させてデジタル管理する台帳を作成する。

今後NTT東日本は、本実証で得られた成果をもとに、2026年度以降の本格実装に向けた技術検証と改善を進めていくという。

カメラでトラックの入退場管理・記録を自動化

セーフィーは1月20日、ナンバープレートを認識し、車両の入退場を管理する「AI-App(アイアップ) ナンバープレート認識」の提供を開始したと発表した。クラウドカメラとエッジAI処理により、PCや録画機が不要となり、電源とネット環境があれば、簡単な設置ですぐに利用を開始できるという。

トラックドライバーの長時間労働や人手不足、再配達の増加、荷待ち問題など、多くの課題が山積しており、抜本的な業務効率化と生産性向上が求められることから、ナンバープレート認識カメラでトラックの入退場管理・記録を自動化することは、物流DXの観点で注目が集まっている。

「AI-App ナンバープレート認識」は、時速60kmでの走行中や、夜間の暗い場所でも車両のナンバープレートを認識することができる。認識したデータをリアルタイムで確認できる管理アプリを標準搭載している。予約システムがなくても、基本的な車両の入退場管理をスタートできるという。

システム構成図(出典:セーフィー) イメージ
システム構成図(出典:セーフィー)

ナンバーの認識データはCSVで出力可能で、API連携により、既存の基幹システムやバース予約システムである「MOVO Berth」「トラック簿」とも連携可能だという。

セーフィーはクラウドでの車両の入退場管理について、物流業界だけでなく商用施設、建設、ホテル、テーマパークなど、幅広い業界への展開を見込んでいる。

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