従来型データセンターの課題を解決する未来指向のデータセンター

2026年4月20日

生成AIの急速な普及に伴う計算需要の増加により、データセンター業界はかつてない変革期を迎えている。従来のクラウドサービス向けデータセンターから、より高密度な電力供給と高度な冷却機能を備えたAI特化型データセンターへのシフトが加速しているが、従来型のアーキテクチャではさまざまな課題が見えてきた。その課題を解決する新たな取り組みが、国内外で進行中だ。

都心の空き空間を有効活用する都市型データセンター

データセンターの用地確保の課題を、都心で解決する取り組みも出てきた。東急と東急電鉄、イッツ・コミュニケーションズ、東急建設は2026年3月23日、「都市型データセンター」の導入検討に関する実証実験を2026年6月から開始すると発表した。

今回の実証実験では、東急大井町線の高架下に「モジュール型小規模データセンター」を設置。鉄道高架下特有の環境下でのサーバに対する影響などを測定し、さまざまな環境下でのデータセンター設置に向けた実現可能性を検証する。

今後は東急線沿線にすでに敷設されている、大容量光ファイバーネットワークを直接活用できるという利点を活かし、渋谷も含めた東急線沿線へのデータセンター設置も視野に入れている。東急グループでは、東急線沿線でのデジタル都市基盤の構築を通じて、沿線の魅力と付加価値を高め人口誘致に貢献するという。

(図1)都市型データセンターのイメージ(出典:東急グループのプレスリリースより) イメージ
(図1)都市型データセンターのイメージ(出典:東急グループのプレスリリースより)

水や空気を使わずに放熱する宇宙データセンター

AI時代のデータセンター建設は用地確保以外にも、大量に使われるプロセッサーの発熱をどう抑えるかなど、さまざまな課題を抱えている。地球上に存在するデータセンターの場合、プロセッサーの冷却には、水を大量に使う大がかりな冷却機構が必要となる。その課題を、平均的な温度が絶対零度に近い宇宙空間にデータセンターを作ることで解決しようとする取り組みもある。

米Starcloudは2025年10月15日、NVIDIAの最新GPU「H100」を搭載した衛星「Starcloud-1」を打ち上げる予定を発表。11月2日にはSpaceXのファルコン9によって、実際にStarcloud-1が打ち上げられた。宇宙空間では真空、かつ極低温の外部環境そのものが無限の放熱先となる。このため、赤外線放射によって熱を放出し、水や空気を一切使わない冷却を実現する。また、衛星は地球の影に入らない、全日照の軌道への配備が計画されている。これによって常時太陽光が受けられ、ソーラーパネルで効率的に電源を確保する計画だ。

Starcloudの計画では、最終的に5GW級のデータセンターを宇宙空間に設置し、電力供給するソーラーパネルを含む面積は4km四方に及ぶとしてる。宇宙に設置するデータセンターは、地上のデータセンターに比べてエネルギーコストを10分の1に削減でき、データセンター自体の建設コストも、打ち上げコストを含めても地上の10分の1に抑えることができるという。

(図2)宇宙データセンターのイメージ(出典:Starcloudが公開する動画より引用) イメージ
(図2)宇宙データセンターのイメージ(出典:Starcloudが公開する動画より引用)

用地確保の課題を解決する洋上データセンター

現状では、大規模なデータセンターを新設しようとすると、電力供給源の確保に数年規模のリードタイムがかかる。また、用地確保も難しく、場合によっては住民の反対運動が起きることもある。こうした課題の解決に期待されているのが、海の上に作る洋上データセンターだ。

日本郵船とNTTファシリティーズ、ユーラスエナジーホールディングス、三菱UFJ銀行、横浜市は2025年3月27日、災害対策用のミニフロート(浮体式係留施設)を活用したグリーンデータセンター(環境負荷低減型データセンター)に関する覚書を締結したと発表。2026年3月から神奈川県横浜市の大さん橋ふ頭で、太陽光発電と蓄電池を活用した再エネ100%で稼働する洋上浮体型データセンターの実証実験が開始される。

実験では、災害時に臨時防災基地となる大さん橋ふ頭の災害対策用ミニフロート(縦25m×横80m)を活用。出力44kWの太陽光発電設備と出力80kW、容量358kWhの蓄電池設備を備え、再生可能エネルギーでコンテナ型データセンターを稼働させるという。

(図3)洋上浮体型グリーンデータセンターの将来イメージ(出典:NTTファシリティーズのプレスリリースより) イメージ
(図3)洋上浮体型グリーンデータセンターの将来イメージ(出典:NTTファシリティーズのプレスリリースより)

一方、商船三井は2025年7月、英Karadenizと共同で発電船から電力供給する、洋上データセンターの開発に取り組んでいると発表。商船三井の中古船を再利用して洋上データセンターを建設し、Karadenizの発電船から電力を供給する。発電船と組み合わせることで、地域電力から独立して運用できる。

また、データセンター施設として中古船を活用することで、新規建設に伴う環境負荷を低減して工事期間も大幅に短縮。既存の船内システム(空調、取水、発電機など)を活用すれば、初期投資や建設コストの削減も見込める。さらに、海水を活用した水冷システムを利用し、サーバの冷却にかかる電力消費を抑制することで運用コストの削減も可能になるという。

(図4)発電船と洋上データセンターのイメージ(出典:商船三井のプレスリリースより) イメージ
(図4)発電船と洋上データセンターのイメージ(出典:商船三井のプレスリリースより)

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