最新の生成AI活用事例とは?
目次
生成AIを始めとするAIシステムは、多くの企業が導入を検討しているが、実際にどの業務に適用すれば良いのか、悩んでいる企業は多い。そこで、ここでは、実際にAIシステムを導入した企業の最新活用事例を紹介する。
生成AIは、情報の収集・分析・伝達業務で活用が進む
Allganize Japanは4月3日~4月7日、従業員規模100人以上で、かつ、生成AIを導入している企業団体に勤める正社員および経営層(役員クラス)1,000人を対象に、「企業におけるAIエージェント導入」に関する調査をインターネット上で行い、4月25日に集計結果を発表した。
それによると、約8割が「業務効率化に貢献している」ことを実感し、「特定の部署やチームで効果的に活用されている」との回答も約8割に達し、多くの企業で効果的に活用されている状況が確認できたという。
具体的に活用している生成AIツールとしては、「テキスト生成・校正・文章作成支援」の全社導入率が3割を超え、次いで「一般情報からの検索(28.8%)」「社内文書・ナレッジベースの検索・質問応答(26.2%)」が比較的高い水準で導入されているという。

(図1)勤務先で導入・活用している生成AIツール(出典:Allganize Japan)
実際にAIエージェントを導入している企業では、「データ収集・分析・洞察(50.0%)」「社内問い合わせ対応(41.4%)」「顧客サポート・接客支援(39.8%)」など、情報の収集・分析・伝達に関わる用途での活用が進んでいるという。
また、「会議・スケジュール調整支援(35.9%)」や「市場・競合調査分析(35.9%)」など、複数システムやデータソースを横断する業務にも活用が広がっており、AIエージェントが組織横断的な業務プロセスの効率化に大きく貢献していることがわかったという。

(図2)AIエージェントの企業導入・運用において重要な要素(出典:Allganize Japan)
ユニマットライフが営業拠点に対話型音声AIを導入
電話AI SaaS「IVRy(アイブリー)」を提供するIVRyは、ユニマットライフが全国133ヵ所の営業拠点に、「IVRy」を導入したと発表した。
IVRyは、顧客が事業者の電話番号に電話をかけると、ボタンプッシュ不要でAIオペレーターが応答・ヒアリングを自動で実施する。業者には応答/ヒアリング後に、着信内容が通知され、通話内容の録音、文字起こし、要約された内容をリアルタイムに確認できる。

(図3)「IVRy」の概要(出典:IVRy)
ユニマットライフでは、「AI電話代行サービス」活用により、電話の一次対応における自動化率90%以上を達成し、受電業務の効率化と従業員の負担軽減を実現したという。
同社では、今回のIVRy導入による電話業務の効率化を皮切りに、今後はFAX受信業務の課題解決などを進め、AIやIoTなどのデジタル技術の活用を推進していくということだ。
丸紅がAI面談の本格運用を開始
MQueは、丸紅とともに、業界初となるケーススタディ形式のAI面談を共同開発し、新卒採用において選考前の体験型プログラムとして本格運用を開始したと発表した。
AI面談では、学生が丸紅のリアルなビジネス課題を題材に、AIとの対話を通じて状況判断や意思決定を疑似体験しながら、自らの思考を深めていく。正解のない問いに向き合う中で、自分の思考の特徴や判断基準が自然と引き出される構成になっているという。
AI面談では、AIが一人ひとりの思考特性を分析し、仮説構築力や思考の柔軟性といった特性をフィードバック。丸紅での具体的な活躍イメージも提示し、キャリア形成のヒントを提供する。
丸紅では2025年3月までに600名を超える学生が面談に参加し、約95%の参加者が「自己理解に役立った」と回答するなど、思考を深める新たな就活体験として高い評価を得ているという。
顔認証や画像解析など特化型AIシステムの活用も広がる
生成AIの活用が広がる中、顔認証や画像解析などの特化型AIシステムも急速に普及している。大学をはじめ、研究機関や産業分野での応用が拡大している。
大阪大学は附属図書館にAIを活用した顔認証を導入
大阪大学と紀伊國屋書店、およびパナソニック コネクトは、国立大学では初めてとなる取組みとして、同大学の附属図書館4館に顔認証技術を活用した入館ゲートおよび自動貸出返却装置を導入すると発表した。
入館ゲートは2025年5月から、自動貸出返却装置は2025年秋から順次運用する予定だ。
大阪大学の統合ID基盤OUIDと連携することで、学生と教職員約3万人の貸し出し管理業務の効率化を実現し、DXを推進するという。

(写真1)入館ゲート(左)と自動貸出返却装置(右)(出典:大阪大学)
大阪大学では、2024年に在籍中の学生および教職員約3万人に加え、入学前や卒業後・退職後を含めた生涯的なID活用を想定した統合ID基盤「OUIDシステム」を構築した。OUIDを活用したアプリケーションの第一弾として、2024年4月にAIを活用した顔認証入場管理システムを構築し、顔認証による入退館ができる建物や会議室等を順次拡大している。
今回、大阪大学附属図書館全4館にパナソニック コネクトの顔認証技術と連携した入館ゲート7台、および自動貸出返却装置6台が設置された。
大阪大学のコミュニティ(受験生・在学生・卒業生・教職員等)に関わる人財データを一意の生涯IDであるOUIDと結び付け、厳重なセキュリティ管理のもと一元的に管理し、分析・活用する基盤「OU人財データプラットフォーム」を、顔認証技術と連携させることで、顔認証による入館および図書の貸し出しを実現している。
「OU人財データプラットフォーム」に登録された学生、教職員等の顔写真・属性情報をもとに顔認証を実施し、入館管理システムおよび自動貸出返却装置と連携する。これにより、学生証や図書館カードを取り出す手間をかけずに入館し、図書を借りることができるなど、利用者の利便性が向上するという。
NTT東日本、行動認識AIによるクラウド型異常検知サービス
NTT東日本は、アジラのライセンス提供のもと、クラウド上のAIが防犯カメラ映像の異常を自動検知する「ギガらくカメラ 映像解析オプション MIMAMORI AI」を3月31日から提供開始した。

(図4)クラウド型異常検知AIサービス(出典:NTT東日本)
ギガらくカメラの映像録画機能に加え、人の姿勢や動きを分析できる骨格推定方式の「行動認識AI」を用いてリアルタイムで映像解析を行い、不審・異常行動を検知・通知することが可能になる。現地には「ギガらくカメラ」を設置するだけでサービスを利用することができ、検知データはクラウドで管理されるため、遠隔からの監視や複数拠点の一元管理が可能だという。
骨格推定方式とは、人の関節点を特定し、体の姿勢や動きを解析する技術である。物体を検出し、それが何であるかを認識する「物体検知方式」と比較して、どのように体が動いているかを検出できる点が優れているため、転倒、手の動き、歩行、ジャンプなど、詳細な動作を認識可能だという。
主に費用対効果の観点から、オンプレミス型の異常検知サービスの導入が難しかった中小規模施設(商業、公共施設、オフィスビル等)、無人店舗(コインランドリー、無人駅等)、介護施設、保育施設等での利用を想定している。
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