地域活性化を支援する小規模自治体向けDXソリューション
全国の自治体では人口減少や高齢化、職員数の減少といった社会構造の変化に加え、住民ニーズの多様化や業務の高度化により、日々の行政運営に大きな負荷がかかっている。特に小規模自治体では、限られた人員と予算の中で、いかに住民サービスを維持・向上させるかが大きな課題だ。そうした中、デジタル技術を活用した「自治体DX」を支援するさまざまなソリューションが登場している。
NTT東日本が自治体向け生成AIサービスにLGWAN接続を提供
NTT東日本は2025年9月19日、SaaS型の生成AIサービスにLGWAN(総合行政ネットワーク)接続オプションを追加したと発表。従来、情報セキュリティの制約で生成AIの活用が難しいとされていた小規模自治体に対して、安心・安全な環境での生成AIの活用を提供する。
NTT東日本では2025年4月9日から、「まずは生成AIを触ってみたい」「小規模で効果検証をしてから本格導入したい」と考えている地域の自治体職員の声を受け、SaaS型の生成AIサービスを提供してきた。新たに提供されるオプションでは、地方公共団体が相互に情報共有することで、コミュニケーションの円滑化や情報の高度利用を図る目的で整備された、LGWAN経由での生成AI利用が可能になる。
さらに、NTT東日本は生成AI環境の提供だけではなく、オプションメニューにてガイドラインの策定やプロンプトエンジニアリングの習熟に向けた「プロンプトハンズオン研修」、生成AIを日々の業務に落とし込む「生成AIユースケース創出ワークショップ」などを提供。これによって、「生成AIの基本的な理解」から「実際に使いこなす」まで伴走支援し、全国の地方公共団体の組織内ネットワークを相互に接続していく。

(図1)NTT東日本の生成AIサービス
(出典:NTT東日本 ホームページ)
公開型GISサービスの活用で焼津市が「スマートマップ焼津」を公開
位置情報スタートアップのGeoloniaは2025年4月10日、地理空間データを活用した住民向け情報公開ツールとして、公開型GIS(地理情報システム)「スマートマップ」のサービス提供開始を発表した。「スマートマップ」は、自治体が保有する防災・福祉・都市計画・教育などの地理情報を、インターネットを通じて住民に届けるクラウド型のGISサービスとなる。専門的な操作や高額な導入コストを必要とせずに、自治体業務と住民サービスの見える化を実現する。
公開型GISとは、自治体が持つ地図ベースの情報を一般住民に公開する仕組み。避難所や用途地域、学区、防災マップなど、地域に関わる重要な情報をスマートフォンやパソコンから、いつでもオンラインで確認できるようにする。それによって、行政と住民の距離を近づけ、庁内の情報共有と市民からの問い合わせ対応の効率化を両立し、行政DXと住民サービスの向上を同時に実現する。
小規模自治体において、公開型GISのスモールスタートを可能にする「スマートマップ」では、避難所やゴミ収集、学区、建築制限区域などの情報が自由に重ねて見られるようになり、庁内共有や業務間連携にも活用可能。2025年4月1日には静岡県焼津市が、同サービスを利用した「スマートマップ焼津」を本格導入している。

(図2)静岡県焼津市の公開型GISサービス「スマートマップ焼津」
(出典:Geolonia プレスリリース)
自治体DXと地域通貨を統合した「まちポ」が提供開始
人材育成・コンサルティング事業などを展開するみらいは2025年7月1日、自治体が抱える課題解決と地域経済活性化のための新たなソリューション「まちポ」の提供を開始したと発表。小規模自治体が抱える、限られた人員と予算の中で、いかに住民サービスを維持・向上させるかという課題に対して、従来の行政アプリの課題である「利用促進の仕組み不足」を「地域ポイント」「地域通貨」で解決するという。
「まちポ」は、行政サービスの利用や地域活動への参加でポイントが貯まり、そのポイントを地域内での買い物に使える仕組みによって、自治体・住民・地域事業者をつなぎ、持続可能な関係を構築する。地域の誰もが直感的に使え、住民・行政・事業者が手軽につながる「地域のデジタルインフラ」を目指しており、地域ポイントを活用した政策誘導や、地元での買い物やイベント参加が自然と地域貢献につながる仕組みとなっている。
「まちポ」では、地場の開発会社や地域に関わる企業と共同でミニアプリを開発し、サービスの拡充を実施することで、地域の雇用を創出。地域外からの仕事の受注や、移住促進へとつなげる。最大の強みは、地域ポイントや地域通貨との統合、パーソナライゼーション、オープンプラットフォームの3点で、特にオープンプラットフォームとしての特性によって、地域のデジタル人材育成や地域産業の活性化にも貢献するという。

(図3)地域ポイントで活性化する「まちポ」
(出典:みらい プレスリリース)
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