Social

社会(S)

安全と品質の向上

安全マネジメント

社会のインフラづくりが事業領域であるミライト・ワン グループの価値創造は、安全の担保・向上を大前提としており、安全を最優先する業務プロセスを実行しています。

第5次中期経営計画における非財務目標
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「ミライト・ワン グループ 安全・コンプライアンス憲章」を制定

2022年7月に「ミライト・ワン グループ 安全・コンプライアンス憲章」を制定し、安全の確保は企業経営の要であることを肝に銘じ、最優先課題として安全対策に万全を期することを改めて掲げました。当社グループで働く全員が本憲章に基づいて安全確保とコンプライアンスの徹底に取り組むことで、ステークホルダーの皆様から信頼され続ける企業グループを目指すとともに、持続可能な社会の実現への貢献に努めています。

安全意識の更なる向上に向けて

事故撲滅と安全意識の更なる向上に向けて、基本動作に日々立ち返るほか、安全作業手順書等の配備や安全教育の実施、事故事例の映像化、安全関連規則のビジュアル化を進めています。加えて、社長をはじめとする幹部が日頃から積極的に現場に足を運ぶほか、グループ会社やパートナー会社も含む「安全大会」を毎年開催することで、従事者との安全コミュニケーションの活性化や安全意識の再確認、安全対策の水平展開を図っています。

また、重大事故が発生した場合は、速やかに主要グループ会社を含めた緊急事故対策会議を開催し、事故の背景・経緯の深掘りや真の原因究明を行うとともに、グループ共通の再発防止対策を決定・実践しており、グループ一丸となって事故撲滅に取り組んでいます。

危険体験・体感研修

建設業における死亡事故の約4割を占める墜落・転落事故の撲滅を目指し、VRによる「危険体験・体感研修」を実施しています。転落事故を身をもって疑似体験することで、基本動作や墜落制止用器具の重要性への認識や安全意識を高めることを目的としています。

image VRによる危険体験・体感研修

危機発生時の安全確保

大規模自然災害に備え、また、災害時における情報通信インフラの復旧支援の重要性の高まりを踏まえ、年2回の定期災害対応訓練を通じ、災害発生時の行動原則や安否確認方法、災害情報収集方法等を習得しています。また、2023年から本格化させている「ミライト・ワン流スマートワークライフスタイル改革」については、在宅勤務やリモートワーク等の柔軟な働き方における安否確認システムの有効性も確認の上で推進しています。

高所安全作業者認定の資格取得を促進

技術者が高所での作業を安全かつ確実に行えるよう、「高所安全作業者認定(アクセス系)」「高所安全作業者認定(ネットワーク系)」の資格取得を促進しています。

高所安全作業者認定の新規受験者数

(名)

2021年度 2022年度 2023年度
アクセス系 104 109 52
ネットワーク系 32 64 56
image 高所作業体験研修

クラウド型ドライブレコーダーの導入

各現場への移動など業務中の運転における交通事故の撲滅に向けて、2019年より、業務車両へのクラウド型ドライブレコーダーを活用しています。2023年度末現在で当社グループ全体の約87%(約1,900台)の車両への導入が完了した結果、2023年度の交通事故件数(加害)は前年度比8%減少しました。

現場見守り用ネットワークカメラの導入を拡大

当社グループは、長年構築してきた地域ネットワークを活用した地方創生ビジネスに強みをもつ一方、遠隔地や山間部など、現地視察による現場見守りに過大な労力やリスクを伴う案件については、ICT技術を駆使した効率化等により、限られた人材で安全・高品質なサービスを提供できる仕組みを構築しています。その一例として2023年度は、現場見守り用ネットワークカメラの導入を拡大しました。2024年度も引き続き導入を拡大することで、現場人財の安全確保とワークライフバランスの更なる向上に注力します。

image ネットワークカメラによる遠隔地の見守り

ISO45001に準拠した労働安全衛生マネジメントシステム

ISO45001に準拠した労働安全衛生マネジメントシステムを運用し、2024年3月31日現在で(株)ミライト・ワンの全事業所が同認証を取得しています。業務の遂行にあたり安全を最優先することを明記した労働安全衛生方針に基づき、法規制および労働安全衛生要求事項の順守、リスクアセスメントと危険予知活動を通じた労働安全リスクの低減・排除のほか、相互啓発による安全・安心の定着を促進しています。管理項目として重大人身事故、重大交通事故等、重大な不安全行動等を設定し、継続的な改善を図っています。

品質マネジメント

当社グループは、品質を安全と同等に重要な経営課題および競争力の源泉のひとつとして位置づけ、「ミライト・ワン グループ 安全・コンプライアンス憲章」においては「品質の確保」を改めて重要課題として認識し、「常に新しい技術を取り入れ、お客様の信頼に応え続けるよう、高品質で優れた成果物を提供する」ことを掲げています。

技術力・現場力の向上と伝承

サービス品質を支える技術力の着実な向上と伝承に向けて、各種研修や技術認定を実施しています。
具体的には、近年の工事件数の増加や工事内容の多様化・複雑化等を背景に、各現場の責任者として事業推進の中核を担う工事長には幅広い対応力が求められることから、新任工事長と工事長補佐を対象とする「工事長研修」を実施しています。

※当社グループが個別工事の統括のために任命する監督職のひとつ

また、専門技術者の育成を目的とする技術者育成部会は、当社グループおよび協力会社の社員を対象に各種研修を実施しており、特にモバイル実技研修には2010年の開始から累計1,753名が受講し、スキルアップを図っています。
また、中央職業能力開発協会が主催する「技能五輪全国大会」に毎年出場し、2023年11月に開催された第61回大会では、「情報ネットワーク施工」において当社社員が敢闘賞を受賞しました。今後も競技会への参加等を通じて更なる技術力の向上を図り、安全・安心・高品質なサービスの提供と伝承に努めていきます。

image 入賞した当社社員

ISO9001に準拠した品質マネジメントシステム

ISO9001に準拠して品質マネジメントシステムを構築・運用しており、品質方針として「法規制や顧客要求事項への迅速な対応」「製品・サービスの質的向上や施工品質の向上による顧客満足度アップ(効率的な生産・サービス活動も実現)」「品質リスクの低減によるQCDの維持・向上の実現」を掲げ、達成への具体的なプロセス・手順や判断基準を社内規定類で明確化しています。また、各業務品質の確認・検証の精度をモバイル端末等も活用しながら追求しているほか、各グループ会社がそれぞれの事業内容に応じて設定した目標(設備事故件数、検査指摘件数、お客様満足評価ポイント等)の達成状況をレビューし、次年度以降の取り組みにつなげています。

パートナーとの協働

ミライト・ワン パートナー会

ミライト・ワン グループは2022年7月にコアパートナーとミライト・ワン パートナー会を発足して以降、組織の拡大に努めながらパートナー共創を強化しています。成長分野である「みらいドメイン」のビジネスにパートナーとともに挑戦するほか、人財育成機関「みらいカレッジ」の戦略的な学びの提供により、パートナーの成長・変革を支援しています。また、安全経営・健康経営の推進や現場の働き方改革、DXによる現場作業のバリューチェーン改革等もパートナーとともに進めることで、社会価値の共創と企業価値向上につなげていきます。

image ミライト・ワン パートナー会 ポータルサイト

公正取引とパートナーシップ

「ミライト・ワン グループ 安全・コンプライアンス憲章」の「6. 公正取引とパートナーシップ」においては、取引にまつわる各種法令の遵守や透明・公正な取引を行うほか、パートナー会社との良好な協力関係を保持することで、ともに社会的課題の解決に寄与する姿勢を明確にしています。

※詳細はこちらをご覧ください

「パートナーシップ構築宣言」の推進

安心・安全な社会の一端を担う通信インフラを創り、守ってきた当社グループは、未来の社会インフラを「創り・守る」ためにはパートナーとの共創こそが最重要であるとの考えのもと、これまで以上に広く社会インフラ領域で社会課題の解決に貢献し続けることを目指し、公正取引とパートナーシップを基盤に「パートナーシップ構築宣言」を推進しています。

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オープンイノベーションやパートナーシップによる新たな価値創造

注力分野「みらいドメイン」における「企業DX・GX」領域等で先端技術を社会インフラに実装することを成長ドライバーとする当社グループは、先端分野における価値創造や社会的課題の解決を加速するべく、国内外のスタートアップ企業等とのオープンイノベーションやパートナーシップ拡充に注力しています。

2023年7月には、MMD(株)と同社との共同企業体で施工した都市型水族館「AOAO SAPPORO」(北海道札幌市)において、水濾過設備や人工海水製造装置、各種水槽の水温・流量等の監視や制御により水族や生き物の快適な環境を創り続けるLSS(Life Support System)の情報収集に必要な通信手法として、最新規格の高速電力線通信である第4世代HD-PLC™の運用を(株)ソシオネクストの協力のもと開始しました。(株)ソシオネクストは、LSSの情報収集システムで必要な第4世代HD-PLC™を実現する通信用LSIを開発・供給するとともに、共同企業体との実証試験を行い、最新規格の高速電力線通信としては世界初となる社会実装に貢献しています。第4世代HD-PLC™は、高速電力線通信技術である国際規格(IEEE1901-2020)に準拠し、専用通信ネットワークを使用せず、一般施設の配電線を利用して通信を実現します。これにより、新旧設備機器との情報通信を支えるスマートコネクティッド社会の通信規格として注目されています。特に、新たなネットワークを敷設することなく常時通信が可能となり、省線化による図面レス、工期短縮、イニシャルコストの抑制を実現しつつ、安定した通信環境・通信速度を維持できるという特徴があります。当社やMMD(株)は、今後も設備機器やエネルギーの情報収集、制御を行う際のイニシャルコストやLCC削減に寄与する通信技術のひとつとして同技術を採用することで、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

※最新規格のHD-PLCTMを電力線通信で初めて社会実装した例((株)ソシオネクスト調べ)。
HD-PLCは、パナソニック ホールディングス(株)の日本、その他の国における商標または登録商標です。

  • image AOAO SAPPORO展示風景(イメージパース)
  • image システムイメージ図

また、2023年12月には、各種施設向けサービスロボットを開発・販売するエイム・テクノロジーズ(株)とエレベーターロボット事業において業務提携し、汎用エレベーターと連携した配送・配膳・清掃ロボットの提供を開始しました。日本では既に商業施設、飲食施設、オフィスビル等で清掃ロボットや配送ロボット、配膳ロボット等の導入が進んでおり、不足する労働力の補強策として浸透しつつあります。一方、国内のエレベーターの多くはロボットとの通信接続ができない旧型であり、ロボットとの連携には多額の費用と期間を要することが課題となっていたことから、エイム・テクノロジーズ(株)が開発した「通信機能付きエレベーターアダプタ」を用いることで、新旧問わず汎用エレベーターとロボットを低価格かつ短期間で連携させ、ロボットがエレベーターを自動乗降し、ビル内を広範囲に活動する新しいサービスを実現しました。

また、配送ロボットや配膳ロボットもあわせて提供することで、ビル内でのロボット活用による人手不足解消を強力にサポートし、製品提供のみならず設置から保守に至るまでワンストップで提供します。

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こうしたロボット関連事業は徐々に実績を積み上げており、2024年9月にグランドオープンした「三井ガーデンホテル銀座築地」(東京都中央区)に、エレベーターおよびPBXと連携する配送ロボット2台を導入しました。ホテル業界では特に夜間帯における従業員の客室デリバリー業務負荷の大きさが課題となっており、同ホテルでは、客室内のアメニティ等の配送を本配送ロボットによって実現することで、従業員の業務軽減、宿泊者の利便性向上を目指しています。

  • image 三井ガーデンホテル銀座築地外観
  • image 配送ロボット

※PBX(Private Branch exchange:企業やオフィス内に設置し、複数の外線電話番号や内線電話機と接続するための構内電話交換機

ステークホルダーとの対話

みらいドメインである「街づくり・里づくり/企業DX・GX」や「グローバル事業」等での成長を加速させている足元においては、お客様がこれまでの通信キャリアから自治体・一般企業へと広がっているほか、西武建設(株)、国際航業(株)のグループ化により共創パートナーの数も増えていることから、Purpose(存在意義)と、各ステークホルダーに向けて当社の姿勢を明文化したMission(社会的使命)への取り組みを軸に、ステークホルダー・エンゲージメントを強化しています。

Purpose/Missionと意識するステークホルダー

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ステークホルダーエンゲージメントにおける共有価値とコミュニケーションチャネル

顧客 株主・投資家 パートナー 社員
共有価値 時代の変化や社会的課題への対応 企業価値向上 人財成長・事業拡大と持続的成長 会社の成長と個人の成長
コミュニケーションチャネル 国内外の事業拠点/ビジネス現場 株主総会/決算説明会/各種ミーティング ミライト・ワン パートナー会/国内外企業拠点 各種対話会/1on1ミーティング

株主・投資家の皆様との対話における主な関心事項

株主・投資家の皆様との対話においては、主な関心事項として以下のご意見・ご質問をいただいています。これらを定期的に経営陣にフィードバックすることで、経営改善とエンゲージメント強化につなげています。

項目ご質問
業績と評価 ・前期決算の評価と今期の計画 ・受注時採算
・建設業「2024年問題」への対応
・従業員賃金改定、採用の状況
中期経営計画の状況 ・今期計画の考え方 ・国際航業(株)通年寄与の影響
・基幹システム更新の影響 ・データセンター事業
・地域マネジメント改革の狙いと効果
・中期経営計画の進捗状況、評価
・M&A戦略、株主還元方針 ・人財成長戦略、DX戦略
・ESGの取り組み(GHG削減、女性活躍、多様性)
事業動向 ・足元の受注状況 ・各分野の足元採算性と今後の見通し

※株主・投資家の皆様との対話についてはこちらもご覧ください

人権尊重

人や社会と共存するより良い環境づくりを最大のMission(社会的使命)とし、お客様から最高の満足と信頼を得られるようグループ全体で取り組んできたミライト・ワン グループは、企業活動に関わる全てのステークホルダーの人権を理解し、グループ全体で人権尊重の責任を果たすことが今後の持続的な成長と企業価値向上に不可欠であると考える当社グループは、「人権尊重」をマテリアリティの一部として取り組んでいます。

「ミライト・ワン グループ 人権基本方針」への取り組み

人権尊重へのコミットメントを強く発信し、グループ内での認識をより明確にするとともに、様々なステークホルダーと協働してあらゆる企業活動における人権尊重の行動を進めていくため、2022年7月に人権に関する最上位方針として「ミライト・ワン グループ 人権基本方針」を制定しました。以来、当社グループの全社員が本方針に基づき、あらゆる事業活動の根底に人権尊重の意識をもって行動し、広く社会の皆様から信頼される企業を目指すとともに、持続可能な社会の実現への貢献に努めています。

ミライト・ワン グループ 人権基本方針(条文構成)

  1. 人権に関する基本的な考え方
  2. 法令の遵守及び人権規範の尊重
  3. 適用範囲
  4. 人権デュー・ディリジェンスの実施
  5. 救済・是正措置
  6. 教育・啓発活動
  7. ステークホルダーとの対話・協議
  8. 推進体制

推進体制

あらゆる企業活動に関係する人権課題について全ての役員・従業員の理解・浸透を図るため、代表取締役社長を委員長とする「ESG経営推進委員会」のもとに「人権・D&I 委員会」を設置しています(ESG経営推進体制参照)。同委員会では人権やダイバーシティに関するリスク状況の報告と対処する課題、施策等を議論し、人権マネジメントの強化やダイバーシティ&インクルージョン施策の推進に取り組みます。

具体的取り組み例

当社グループは、児童労働や強制労働を行わせることはなく、労働者の権利保護に留意し、法で定められた最低賃金以上の賃金としているほか、経営状況が極めて悪化した場合においても最大限社員の雇用維持に努め、これまで指名解雇や整理解雇を実施したことはありません。

また、人権意識の啓発・向上のための階層別研修やコンプライアンス推進活動によってハラスメント行為の禁止等に取り組むとともに、「コンプラ目安箱」「なんでも相談室」「社外通報窓口」の3種のヘルプラインを設置し、通報者保護に配慮した上で問題解決に向けて対応しています。

労使関係

当社グループは、労使の相互信頼を基盤とし、企業の発展と従業員の労働条件の維持・向上を図るため、定期的な労使協議の機会を設け、安定した労使関係の構築に努めています。積極的な事業運営を行い、企業の健全な発展を図るため、事業計画やその他の重要課題について労使で意見交換を行う情報連絡会や労働時間適正化委員会を定期的に開催しています。

人財育成

人財成長による事業成長と事業変革への注力

「超・通建」に向けた事業変革を加速するべく、2023年度より以下の人財成長戦略を本格化させています。2024年度からは、この取り組みを当社グループ全体の経営戦略と密接に連動させ、企業価値向上に直結させるための価値創造ストーリーとして「人財版 ミライト・ワン流の価値創造モデル」を策定しました。

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「人財版 ミライト・ワン流の価値創造モデル」を策定

当社グループは、2022年度から注力してきた「MIRAIT ONE Group Vision 2030」および第5次中期経営計画におけるChange 1「人間中心経営」、そして2023年度から本格化させている「人財成長による事業成長」を更に加速するべく、2024年6月に「人財版 ミライト・ワン流の価値創造モデル」を策定・開示しました。当社グループは同モデルを「経営戦略と人財成長戦略を繋げる価値創造ストーリー」として展開し、「人間中心経営」と「人財成長戦略」における各施策を「成長分野を担う人財の創出」「競争力ある人財の採用・育成」「多様な人財の活躍と多様で柔軟に働ける環境整備」「健康経営の推進」の4つの投資テーマに大別して推進していきます。2024年度からはこれら投資における代表KPIとして「成長分野への人財創出数1,000名以上(2026年度まで)」「エンゲージメントスコア・レーティング」を設定することで、「MIRAITONE Group Vision 2030」と第5次中期経営計画の実現、持続的な企業価値向上に向けたPDCAに取り組んでいます。

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※1 開示範囲:※2、※3の印があるものを除き、(株)ミライト・ワン(単体)
※2 開示範囲:ミライト・ワン グループ
※3 開示範囲:(株)ミライト・ワン(単体)& 国際航業(株)(単体)
※4 ミクロ(社員)CDPのための育成面談実施人数
※5 社外で成長分野を出向等の契約形態で実施・経験した人数
※6 2分野以上に跨る資格取得者数
※7 若手の早期離職対策のためのフォロー面談
※8 2023年度はうち28名が基礎講座を修了
※9 技術士、一級建築士、第一種電気主任技術者等
※10 全女性社員における技術者の割合

成長分野を担う人財の創出

「超・通建」への事業ポートフォリオ変革における「成長分野を担う人財の創出」と「競争力ある人財の採用・育成」に向けて、引き続き「成長分野への人財創出」と「みらいカレッジ」への取り組みに注力しています。2023年度は、(株)ミライト・ワン(単体)でマクロCDPとミクロCDPをマッチングするための1on1面談を約2,400名実施のうえ、約300名の人財創出を推進しました。2024年度も200名以上の人財創出に取り組むことで、2026年度目標である成長分野での人財創出数「1,000名以上」の着実な達成を目指します。また、前述の1on1面談のプロセスにおいては多くの人財が「超・通建」に向けた「みらいドメイン」などの成長分野の業務に前向きに挑戦していくことを確認できた一方、通信基盤ドメインで培ってきた個々人のスキルや経験も大切にしたいという声も多かったことから、部 署異動を伴わずに新領域での業務にチャレンジできる仕組みを強化したほか、こうした希望や本音を社員から聞くための上司の面談スキルも、専門研修を通じて強化しました。

人財流動の前提である「個々人のリスキル」に向けて2022年に開学した「みらいカレッジ」においては、2023年度は成長分野にまつわる新テーマを中心に333講座に拡充し、当社グループおよびパートナー会社を含む延べ約19,000人に利用してもらうことができました。2024年度は講座数を更に拡大(400講座)するほか、グループ会社・パートナー会社へ更なる利用促進を図り、2026年度目標である「500講座以上」「延べ利用者2.3万人以上」の達成に邁進します。加えて、研修メニューの質・量を更に強化することでマルチ資格の取得を加速します。

※Career Development Program

競争力ある人財の採用・育成

社会における「企業DX・GX」や「街づくり・里づくり」ニーズの拡大と前述の事業ポートフォリオ変革の進展に伴い「みらいドメイン」案件が順調に増加し人手不足が顕在化していることから、人財採用に注力しています。2023年度は特に新卒採用の強化に取り組み、採用責任者としてプロ人財を登用し採用組織を大幅に増強したほか、役職員一体となったリクルーター活動やSNSの活用、カジュアル面談の導入等によって採用スキームを刷新した結果、前年度を大幅に上回る人数の新卒採用を実現できました。また、「みらいドメイン」の先端分野やグローバル事業等については外部人財の中途採用に注力しているほか、採用後のリテンションについては新卒/中途を問わず、部門配属前の希望のヒアリングやジョブディスクリプションの丁寧な説明等により、新規採用人財の着実な戦力化と定着に腐心しています。

2023年度より「エンゲージメントサーベイ」を開始

こうした「人財版 ミライト・ワン流の価値創造モデル」を今後も適切に進化させていくための定点観測の一環として、2023年度より新たにエンゲージメントサーベイを開始しました。2023年度は(株)ミライト・ワン(単体)の約3,500名を対象に実施し、レーティング:B(スコア:49点)という結果となりましたが、今後はスマートワークライフスタイル改革を更に推進し、社員のエンゲージメント向上に向けたPDCAを加速していく考えです。

人財育成体系

当社グループ全体の人財育成体系は、事業展開に必要な専門能力を高めていくための「分野別モデル体系」と、階層ごとに共通的に求められる知識等の修得を図る「階層別育成体系」で構成することで、社員一人ひとりの成長を支援し、今後の事業成長を支える人的資本の強化を計画的に推進しています。
具体的には、入社直後の導入研修から幹部社員研修に至るまで、各階層で期待される役割やキャリアステージに応じて身につけるべきスキルやナレッジを修得できるよう設計しています。なかでも新入社員向けについては、理系・文系を問わず活躍できるよう特に充実した教育研修体系を準備しています。また、面談制度を整備し、マクロCDP(事業戦略)とミクロCDP(社員)を対話によってマッチングさせるプロセスを通じ各種資格取得への積極的なチャレンジを促すとともに、難易度に応じた報奨金制度を設けるなど、個々の社員の成長意欲に応えています。また、DX人財育成のための研修を実施するほか社内DX資格認証制度を導入しています。

過去3年間の資格保有状況の推移

(名)

主要資格名 2021年度※1 2022年度※2 2023年度※3
工事担任者(AI・DD総合種) 761 792 902
1級電気工事施工管理技士 386 400 389
1級土木施工管理技士 354 548 574
一級建築士 15 86 90
監理技術者資格者 2,108 2,621 2,665
第1種電気工事士 438 423 405
第1級陸上無線技術士 186 244 268
第1級陸上特殊無線技士 1,328 1,408 1,473
1級有線テレビジョン放送技術者 34 50 47
シスコ技術者認定CCIE 49 40 42
情報技術者(基本/応用) 277 304 489
JUIDA操縦技能 103 160 167
ITパスポート 829 882 823
  • 電気工事士(第1種/第2種)資格保有状況の推移

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  • 情報技術者、ITパスポート資格保有状況の推移

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※1:(株)ミライト、(株)ミライト・テクノロジーズ、(株)TTK、(株)ソルコム、四国通建(株)
※2:(株)ミライト・ワン、(株)TTK、(株)ソルコム、四国通建(株)、西武建設(株)、(株)ミライト・ワン・システムズ
※3:(株)ミライト・ワン、(株)TTK、(株)ソルコム、四国通建(株)、西武建設(株)、(株)ミライト・ワン・システムズ、国際航業(株)

メンタリングプログラム

新入社員を対象にメンタリングプログラムを導入しています。配属部署における上司とは別に指導・相談役となる先輩社員(メンター)を任命し、対話による気づきと助言によって新入社員(メンティ)の自発的・自律的な成長を促す仕組みとしています。定期的な報告を受けてのフィードバックや月例面談を通じ、新入社員だけでなく、メンターを務める先輩社員も成長できるプログラムとしています。

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サクセッションプランの一環として「ミライト・ワン グループ未来塾」を展開

中長期視点からの次世代経営幹部の計画的育成に向けては、2020年7月に「ミライト・ワン グループ未来塾」を創設しました。グループ会社を含む将来の経営層候補人財を対象にワークショップやディスカッション主体の研修プログラムを実施し、会社経営に関する視野を広げ、当社グループの経営課題について具体的な解決策を検討することにより経営者に相応しい対応能力を高めるほか、研修チーム内・チーム間の議論や検討を通じて社内ネットワークの構築と、自らが未来の当社グループの経営を担うというマインドを醸成します。2023年度は第3期の育成を行っています。

人的資本強化スキームの全体像

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海外事業拠点における研修プログラム

海外拠点においても、現地社員向けに様々な研修を行っています。例えばLantrovisionグループでは、人財育成・研修の専任担当者を任命し、構内ケーブルの設計・施工・テスト等の基本的な研修から、入札・見積・契約といった実践的な研修まで幅広いプログラムを用意し、社員のスキルとモチベーションの向上を図っています。また、各ケーブルベンダーの認証資格を積極的に取得することで品質管理を強化し、顧客満足度の向上や事業競争力の強化に努めています。

また、海外子会社が推進するグリーン発電プロジェクトでの技術習得、および今後のグローバル事業を支える人財育成に向けて、ミライト・ワン グループの若手社員を中心に海外トレーニーを募集し、派遣しています。

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Lantrovision (S) Ltd(シンガポール)における現地人財研修

働き方改革

働きやすい労働環境の整備

当社グループは、労働基準法をはじめとする労働関係法令の遵守はもとより、社員の働き甲斐に資するよう、労働関係法令を上回る処遇制度を設けています。また、同一労働・同一賃金の考えを尊重し、非正規社員も正社員と同等の待遇となるよう、特別勤務手当や時間外勤務手当等を正社員と同じ割増率で支給するほか、特別休暇の付与や社員への登用等を実施しています。

労働関係法令を上回る制度

  • 所定労働時間(1週、1日)
  • 休憩時間、休日
  • 採用年度年次有給休暇付与日数
  • 時間外・休日・深夜の割増賃金 等

スマートワークライフスタイル改革に向けた取り組み

多様な人財の活躍と多様で柔軟に働ける環境整備

人財版 ミライト・ワン流の価値創造モデルの3つ目の投資テーマである「多様な人財の活躍と多様で柔軟に働ける環境整備」においては、前述の「人財成長戦略」と「未来を変える人財集団形成」を下支えするべく、引き続き「人事制度改革」と「ミライト・ワン流スマートワークライフスタイル改革」に注力しています。「人事制度改革」において2023年度はカムバック採用をスタートしたほか、ジョブ型雇用制度では14名、社内副業制度では70名が実践するなど、柔軟な人事制度の浸透が進んでいます。また、社内表彰制度として「ワークライフスタイル改革アワード」を新設し、「2割を生み出し2割を活用」をモットーに自分の改革を意識するとともに、リアル/リモートのハイブリッドな働き方や会議運営など、新制度を積極的に活用した好事例を表彰することでワークライフスタイル改革の浸透・加速を図りました。加えて、前述の通りエンゲージメントサーベイを開始し、スマートワークライフスタイル改革の推進・浸透状況を可視化しています。

時間外労働の適正化と年休取得促進

ノー残業デーの設定や定時退社の推奨、 ゴールデンウィーク、年末年始、夏季休暇に合わせた年次有給休暇の取得促進のほか、飛び石連休を連休にするブリッジ休暇、連休に1日追加するプラスワン休暇、プロジェクト明け休暇を推奨し、社員の健康増進はもとより、仕事と家庭を両立しやすい職場環境づくりを目指しています。
各職場でのKAIZEN活動やICTの活用推進により業務の効率化を高めるとともに、PCログシステムによって適正な労働時間を把握・記録することで、総労働時間の削減を図っています。

第5次中期経営計画における非財務目標
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柔軟な働き方による多様な人財の活躍

フレックスタイム制・選択型シフト勤務制(プチフレックス)・変形労働時間制・テレワーク(在宅勤務・出張先・サテライトオフィス)等の働き方を推進することで、多様な人財の誰もがワーク・ライフ・バランスを実現し、効率的に成果を上げながら活躍できる環境を整備しています。
また、在宅勤務者への費用軽減措置として、実施日数に応じた日額200円の補助を実施しています。

働き方改革における3つの取り組み

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「日経サステナブル総合調査 スマートワーク経営編」3星に認定

「第6回日経SDGs経営調査」3.5星に認定

詳しくは、外部評価ページをご覧ください。

社会貢献活動

地域社会への貢献

創業以来、地域密着型のインフラ構築事業で持続的成長を実現してきたミライト・ワン グループは、地域社会の一員として、より暮らしやすく、活気あるコミュニティづくりに貢献することが、社会の持続的発展と当社グループの中長期的な企業価値の向上につながるものと認識しています。

地域および社会全体の課題解決への貢献

東北の被災地支援

東日本大震災の被災地支援の一環として、宮城県電業協会の主催により2011年から開催されている社会奉仕活動(震災ボランティア)に継続的に参加しています。これまで、仮設住宅への花壇設置や農地のがれき撤去、海岸防潮林再生に向けた植樹等を行ってきたほか、2021年度は67名が参加し、海岸林再生のために植樹されたクロマツの苗木の成長を促すために海岸での草刈り等の活動を実施しました。

株主優待のメニューのひとつとして 「スペシャルオリンピックス日本」へ寄付

当社グループは、(公財)スペシャルオリンピックス日本※の活動趣旨に賛同し、2017年より、当社株主優待のメニューのひとつとして同団体への寄付を選択いただけるようにしています。7回目となる2023年は287名の株主様のご賛同をいただき、合計823,000円を寄付しました。今後も、多様な人々がともに生きる社会づくりに貢献していきます。

※知的障がいのある人たち向けに、様々なスポーツトレーニングとその成果発表の場である競技会を提供している国際的なスポーツ組織

地域とのコミュニケーション活動

祭礼や清掃活動への参加

日本各地の伝統的な祭りは、社会構造の変化とともに存続が難しくなりつつあります。当社グループの各社は、地域の祭礼への参加を社員に呼びかけ、神輿の担ぎ手になる場合もあるほか、地域での清掃活動を継続的に行っています。

地域イベントへの参加

当社グループは、本社を豊洲に移転した2011年から地域貢献、社員間交流を目的に東京都江東区主催の地域イベント「豊洲フェスタ」に参加しています。毎年、グループ社員からなるボランティアスタッフで手作りの空気砲ゲームや輪投げブース等を出展しています。

  • image 豊洲フェスタ
  • image 環境啓発登山

人道支援への取り組み

当社グループは、ESGの重要課題(マテリアリティ)の一つとして、「人権尊重とダイバーシティ&インクルージョンの推進」を掲げています。国内外における紛争や災害等に対する人道支援にも取り組んでいます。

ウクライナ紛争への人道支援

年月 支援内容
2022年3月 認定NPO法人国連UNHCR協会へ法人として1,000万円を寄付
2022年9月 社員による募金活動を実施し、認定NPO法人国連UNHCR協会へ180万3,761円を寄付
2023年1月 国内避難を余儀なくされた子供たちのオンライン教育環境の整備を支援するため、国際連合児童基金( UNICEF)を通じ、法人として10万米ドルを寄付

2023年3月、認定NPO法人国連UNHCR協会へ法人として1,000万円を寄付したことに対して、紺綬褒章に係る褒状を受章しました。

トルコ・シリア地震への人道支援

年月 支援内容
2023年3月 認定NPO法人国連UNHCR協会へ法人として500万円を寄付
2023年3月 社員による募金活動を実施し、認定NPO法人国連UNHCR協会に102万7,000円寄付

令和6年能登半島地震による被災地への支援

年月 支援内容
2024年1月 義援金として、石川県へ法人として1,000万円の寄付
2024年3月 グループ役員・社員による募金活動を実施し、3,820,794 円の義援金を日本赤十字社に寄付