インフラDXとは?国土交通省のアクションプランや自治体の実践事例3選
目次
- ▼1. インフラDXとは
- ▼2. インフラDXが求められる背景
- ▼3. 国土交通省によるインフラDXのアクションプラン
- ・行政手続きのデジタル化
- ・情報の高度化と活用
- ・現場作業の遠隔化・自動化・自律化
- ・「インフラ分野のDXアクションプラン2」で公開されたアプローチ
- ▼4. インフラDXを実現するための取り組み
- ・AIを活用した道路管理の効率化
- ・水道DX
- ・水害リスク情報の表示
- ・建設現場や災害時におけるドローンの活用
- ・3次元データの活用
- ▼5. 自治体におけるインフラDXの実践事例4選
- ・ドローンを活用した施工管理DXを実施
- ・人工衛星の画像で漏水リスク評価|福島県福島市
- ・デジタルツインプロジェクトを実施|和歌山県田辺市
- ・防災・インフラ・都市政策を統合したDXモデルを実践|熊本県玉名市
- ▼6. インフラDXで目指す未来
- ▼7. まとめ
道路や水道などのインフラを管理する自治体では、人手不足やインフラの老朽化への対応が大きな課題となっている。限られた人員体制で、これまでと同様にインフラを維持管理する状況に直面している自治体も少なくないだろう。
そこで、デジタル技術を活用して安全で豊かな生活を実現するインフラDXが注目されている。
本記事では、インフラDXが求められる背景や国土交通省によるアクションプラン、具体的な取り組み、導入事例についてわかりやすく解説する。
インフラDXとは

インフラDXとは、人々の生活や企業活動を支える社会資本であるインフラ分野において、デジタル技術を活用し、公共サービスや業務プロセス、働き方を変革しながら、豊かな生活を実現するための取り組みである。
国土交通省の資料では、インフラDXを以下のように定義している。
| "社会経済状況の激しい変化に対応し、インフラ分野においてもデータとデジタル技術を活用して、国民のニーズを基に社会資本や公共サービスを変革すると共に、業務そのものや、組織、プロセス、建設業や国土交通省の文化・風土や働き方を変革し、インフラへの国民理解を促進すると共に、安全・安心で豊かな生活を実現" 引用:インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)|国土交通省 |
インフラDXを推進する過程において、データやデジタル技術の導入が不可欠である。インフラの整備を担う建設分野を例に挙げると、現場作業の業務プロセス改善や働き方改革を目的として、ICT(情報通信技術)を用いたi-Constructionが実施されている。
なお、インフラの種類について詳しくは、以下の記事で解説している。あわせて参考にしてみてほしい。
インフラDXが求められる背景
インフラDXが求められる背景として、主に以下の2点が挙げられる。
1. 労働力不足
2. インフラの老朽化
日本では少子高齢化の進行により、インフラ分野においても人材不足が深刻化している。特に、道路橋や水道管路、港湾施設などのインフラを支えてきた熟練技術者の不足が懸念されている。
また、建設から50年以上が経過したインフラ設備の割合は増加傾向にあり、点検や修繕といった維持管理の必要性が高まっている。しかし、労働力不足の影響により、従来と同じ体制で十分な対応を続けることが難しい状況に直面している自治体も少なくない。
そこで、新技術を導入して点検業務の効率化や省力化を図ることが重要である。水道や電気、ガスなど多くのインフラを管理している自治体にとって、今後も安定的にインフラを維持するには、インフラDXの推進は欠かせない取り組みとなるだろう。
なお、インフラの老朽化に関する現状や課題については、以下の記事で詳しく解説している。あわせてチェックしてみてほしい。
国土交通省によるインフラDXのアクションプラン
ここでは、国土交通省が2022年に公表した「インフラ分野のDXアクションプラン」を参考に、3つのアプローチを紹介する。あわせて、2023年に公開された第2版となる「インフラ分野のDXアクションプラン2」についても解説する。
参考:
インフラ分野のDXアクションプラン|国土交通省
インフラ分野のDXアクションプラン2|国土交通省
行政手続きのデジタル化
国土交通省は、インフラ分野における行政手続きのデジタル化を推進することで、ペーパーレス化や手続きのリモート化を実践している。これにより、自治体や事業者の事務負担を軽減し、効率化につながると期待できる。
具体的には、新たなシステムが構築され、道路空間に関する行政手続きの即時処理が可能になった。従来、特殊車両の通行許可の手続きには約1ヶ月かかっていたが、新システムを活用して情報をデータ化することで、素早い処理を実現している。
情報の高度化と活用
正確でリアルな情報共有を行うために、BIM/CIM(※1)やX(※2)、Web会議システムの活用が促進されている。こうした技術により、関係者間でデータ共有をスムーズに行いながら、効率的な意思決定が可能になる。
例えば、災害対応を迅速化するために、防災ヘリの映像をAIが自動解析し、リアルタイムで被害を推定する取り組みが進められている。以前はヘリコプターから浸水範囲を撮影し、自治体の職員が読み取っていたが、迅速な対応が難しかった。
現在、デジタル技術の導入により情報が集約され、スピーディな対応が行いやすくなっている。
※2 XR(Cross Reality):VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などを総称した視覚拡張技術。建設分野で活用することで、生産性向上や技能継承などに役立つ。
現場作業の遠隔化・自動化・自律化
建設現場における施工作業や出来高報告、点検業務などについても、遠隔化・自動化・自律化に向けた取り組みが進んでいる。
例えば、建設施工の自動化を促すために、3次元設計データを活用した遠隔操作により機械の自律化を図っている。
従来の方法では、建機1台につきオペレーター以外に、1人の人員が必要だった。しかし、建機を遠隔操作することで、1人で複数の建機を稼働する体制構築も可能になっている。
「インフラ分野のDXアクションプラン2」で公開されたアプローチ
インフラDXの取り組みを網羅的に実施するため、国土交通省は2023年に「インフラ分野のDXアクションプラン2」を公開した。そこでは、以下の3つのアプローチが紹介されている。
| インフラ分野のDXを進めるためのアプローチ | |
| インフラ分野のDX推進本部の体制強化 | ・インフラDXを横断的に推進するため、官房にイノベーション担当の参事官を新設するなど、体制を強化 ・各部局で個別に進められてきたデジタル技術や業務変革の知識・経験を集約し、省内全体での共有を図りDXを加速する |
| 業務変革の集積・共有 | ・業務変革を行うために、変化に対する心理的抵抗を緩和する取り組みを実施 ・具体的には、業務変化の効果を高めるチェンジマネジメント、生産性向上のためのリーンマネジメント、短期間の変革を目指すアジャイルマネジメント、情報共有を促進するナレッジマネジメントなどを行う |
| デジタル技術の集積・共有 | ・データ取得技術、データ整形・管理技術、データ分析・処理技術、データ利活用技術などの導入を検討する ・デジタル技術によりできることと、スキルの習得・時間・費用などを選択材料とする |
インフラDXを実現するための取り組み

ここでは、インフラDXのアクションプランを実現するために必要な、5つの個別施策を紹介する。
●AIを活用した道路管理の効率化
●水道DX
●水害リスク情報の表示
●建設現場や災害時におけるドローンの活用
●3次元データの活用
それぞれ、詳しくみていこう。
AIを活用した道路管理の効率化
道路分野では、パトロール車両にカメラを搭載して撮影した映像をAIがリアルタイムで解析し、舗装の損傷判断を行う仕組みが導入されている。これにより点検作業の効率化が期待できる。

株式会社ミライト・ワンは、西武建設株式会社、国際航業株式会社と連携し、地方自治体における道路インフラ管理に取り組んでいる。埼玉県狭山市より、市道や道路橋、街路樹などを対象とした包括的民間管理業務を受託し、通報受付から巡回、清掃、補修対応、災害対応までを一元的に管理する体制を構築した。
具体的には、「道路施設管理システム(Genavis Tao-Asset)」を新たに導入することで、コールセンターにて24時間365日対応の受付体制を整備。苦情要望があった箇所を地図にマッピングして一元管理を行うことで、リアルタイムで情報共有ができ、効率良く素早い対応ができるようになった。
さらに、「Draw-AI(車載カメラ+AI舗装診断)」を導入して道路補修の必要箇所をAIが自動的に検知する仕組みも用いて、作業員の負担軽減に取り組んでいる。
こうした取り組みについて詳しくは、以下のリンクもチェックしてみてほしい。
関連記事:ミライト・ワン グループ3社で道路インフラ管理における課題解決に貢献
水道DX
水道分野でもDXが推進されている。例えば、下水処理場で使われる監視制御システム間には互換性がない点が課題となっているが、大規模な改修を行わずに、既存設備に互換性を持たせる技術の開発が進められている。
また、水道DXとして、AIを活用して水道管の破損リスクや劣化状態を予測するソリューションも活用されている。株式会社ミライト・ワンは、事業体保有のデータと、独自の環境データベースやAIによるアルゴリズムを用いて、水道管の劣化状態を予測する技術を提供している。これにより、更新・漏水調査計画の策定や評価の効率化が実現する。
詳しくは、以下のリンクもチェックしてみてほしい。
水害リスク情報の表示
水害リスク情報は、これまで紙の地図などで共有されるケースが多く、水害のイメージが伝わりにくいという課題があった。
そこで、3D都市モデルを用いて浸水リスクを立体的に可視化する取り組みが進められている。これにより、自治体職員や住民が水害リスクを直感的に理解しやすくなり、避難行動や防災対策の判断材料として活用しやすくなる。
株式会社ミライト・ワンは、冠水を検知したことをリアルタイムで知らせる「MaBeeeML冠水センサシステム(管理コンソール付)」を提供している。
フロート式センサが冠水を検知すると、クラウドを通じて浸水・冠水情報がメール通知される仕組みである。地図上に検知状況がリアルタイムで表示され、対象エリアを一目で把握できる。

詳しくは、以下のリンクをチェックしてみてほしい。
建設現場や災害時におけるドローンの活用
建設現場の設備点検や災害発生時において、ドローンの活用が進んでいる。人が立ち入りにくい場所や危険を伴う災害現場でも、ドローンにより安全かつ迅速に状況を把握できる。
株式会社ミライト・ワンは、ドローンを活用した測量や危険な場所での点検、災害調査などを実施するソリューションを提供している。これにより、建設現場の省力化や工程短縮、災害現場での安全確保や迅速な対応が実現する。詳しくは、以下のリンクをチェックしてみてほしい。
建設現場をドローンで効率化 DroneDock Daas
ドローンフライトソリューション
関連記事:災害時のドローン活用方法4つを紹介!メリットや課題、活用事例も
3次元データの活用
3次元データは、インフラDXに取り組む上で基盤となる重要なデータであるため、蓄積して活用する必要がある。国土交通省は、工事に関する3次元データの保管・活用環境を整備し、閲覧や加工を自由に行える環境づくりを推進している。
株式会社ミライト・ワンは、3次元測量に特化したアプリケーション「mapry測量」を提供し、インフラ分野におけるデータ活用を支援している。現況測量や杭の探索、図面化など、測量業務の効率化につながる機能を利用できる。

詳しくは、以下のリンクもチェックしてみてほしい。
自治体におけるインフラDXの実践事例4選
続いて、国土交通省が実施している「インフラDX大賞」も参考に、2025年に公表されたインフラDXの実践事例を紹介する。
●ドローンを活用した施工管理DXを実施
●人工衛星の画像で漏水リスク評価|福島県福島市
●デジタルツインプロジェクトを実施|和歌山県田辺市
●防災・インフラ・都市政策を統合したDXモデルを実践|熊本県玉名市
参考:令和7年度 インフラDX大賞 受賞取組概要(地方公共団体等の取組部門)|国土交通省
ドローンを活用した施工管理DXを実施
荒川第二調節池の工事において、株式会社ミライト・ワンは遠隔監視ドローンと3D点群データの自動作成を組み合わせた土量管理を実施した。
BIM/CIMデータと連携し、遠隔地からドローンを運用することで、土量管理にかかる測量・解析業務を大幅に省人化。従来、測量から図面作成、土量計算で10人工を要していた作業を0.5人工まで削減し、生産性向上を実現している。

また、ドローンのデータ取得や3次元データの作成は自動化でき、大幅な効率化が実現している。

詳しくは、以下のリンクをチェックしてみてほしい。
参考:2024年12月23日 遠隔監視ドローンと3D点群データの自動作成により 土量管理における省人化・スピード化を実現
人工衛星の画像で漏水リスク評価|福島県福島市
福島市では、人工衛星画像とAI解析を活用した漏水リスク評価に取り組んでいる。
人工衛星画像に加え、過去の漏水履歴、水道管路データなど複数のデータを組み合わせてマップ上で漏水リスクを可視化。調査対象を効率的にスクリーニングすることで、戸別音聴調査の発見率と有収率(※3)の向上につながった。
デジタルツインプロジェクトを実施|和歌山県田辺市
和歌山県田辺市では、ドローン測量やLiDAR、360度カメラなどを活用したデジタルツインプロジェクトを推進している。
インフラ管理だけでなく、防災・消防・空き家対策・文化財保全など幅広い分野で3次元データを活用。複数人が遠方へ何度も出向いて現場を確認する体制から、「現場を事務所に持ち帰る」運用体制が実現した。
防災・インフラ・都市政策を統合したDXモデルを実践|熊本県玉名市
熊本県玉名市では、国土交通省が主導する都市デジタルツイン実現プロジェクト「Project PLATEAU」を基盤に、防災・インフラ管理・都市政策を統合したDXモデルを実装した。
3D都市モデルを活用し、浸水シミュレーションやVR避難訓練、道路台帳のデジタル化、空間解析などによる政策立案を推進。縦割りを超えたデータ活用により、職員に意思決定の共通基盤の提供を実現している。
インフラDXで目指す未来
国土交通省が示すインフラDXの将来像は、以下の6つの分野に整理されており、社会全体の最適化を図る構想となっている。
| 分野 | 概要 |
| 国土、防災・減災 | AIや人工衛星、ドローンなどを活用し、国土やインフラ点検・管理の自動化を行うことで、災害の予測精度向上や被害の最小化を目指す。 |
| 交通インフラ、人流・物流 | 自動運転や配送ロボット、CO2排出量が少ない航空機、超伝導リニアなどの活用により、多様化するライフスタイルに応えながら、低炭素・脱炭素化されたモビリティを提供する。 |
| くらし、まちづくり | ドローン配達、AI・ロボットの活用、小型モビリティなどの導入により、快適で安全な歩行空間を中心にまちづくりを行う。 |
| 海洋 | 自動化された物流倉庫や水素・アンモニアなど国内拠点の整備、CO2を排出しない船舶などの普及により、脱炭素化された国際物流網を実装する。 |
| 建設現場 | ICTで建設現場の遠隔で監視し、建機を操作しながら、危険な場所でも安全に自動作業を行える環境を実現する。 |
| サイバー空間 | 生活空間をサイバー空間上で相互連携し、防災訓練や宇宙探索、バーチャル出張など、多様なサービスを享受できる社会の実現を目指す。 |
このような社会を実現していくには、自治体も必要なデジタル技術を活用してDXを推進していくことが重要となるだろう。
まとめ
インフラの老朽化や労働力不足が深刻化する中、デジタル技術で変革を促すインフラDXの重要性が高まっている。国土交通省のアクションプランに基づき、行政手続きのデジタル化やドローン・AIの活用を進めることで、維持管理の効率化と安全性の向上が期待できるだろう。
株式会社ミライト・ワンは、水道管の劣化予測や3次元測量、ドローンによる施工管理など、インフラDXの推進を支援するソリューションを提供している。詳しくは、以下のリンクをチェックしてみてほしい。
高速道路・地下鉄の設備構築 交通インフラの構築
水道管劣化予測・影響度評価・更新計画策定ソリューション
MaBeeeML冠水センサシステム(管理コンソール付)
建設現場をドローンで効率化 DroneDock Daas
ドローンフライトソリューション
3次元測量に特化したアプリケーション「mapry測量」
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